太陽光発電の導入を検討されている方の中には、「自家消費型」というキーワードを聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし「自家消費型がどういうものか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
今回は、自家消費型の太陽光発電が注目されている背景や、導入のメリット、そして注意すべきポイントを紹介します。自家消費型のタイプについても解説するので、導入の際のプラン策定のヒントを得られるでしょう。
自家消費型の太陽光発電について
住宅用太陽光発電設備で作った電力は電力会社への売電より自家消費が優先される仕組みです。ここでは、自家消費型と呼ばれる太陽光発電設備の基本情報について解説します。また、自家消費型の太陽光発電が注目される背景についても併せて確認しましょう。
自家消費型の太陽光発電とは
自家消費型の太陽光発電とは、太陽光発電した電力を自家消費に回すことを指します。より具体的には、発電した電力を自宅や会社内で消費しているものが、自家消費型の太陽光発電です。
2020年度から固定価格買取制度において、50kW未満の発電設備は自家消費を前提とした余剰売電の買取に関してのみ適用になりました。自家消費型の対極の全量買取型は50kW以上の設備が対象となっています。
注目される背景について
自家消費型の太陽光発電が注目されている要因は、「売電単価の低下」と「電気代の値上がりの懸念」の大きく2つです。売電価格が下がり、買電価格が上がれば、同じ電力消費でもかかった金額に差が出ます。高い電気代を払って買電するより自家消費するほうがお得になる計算です。
・売電単価の低下
再生可能エネルギーの売電価格は、導入後の一定期間を対象に固定価格買取制度によって定められています。この制度は太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及を目的に作られました。現在は、制度の当初の目的を達成しつつあることを受け、毎年設定される売電単価は年々値下がりしています。
10kW未満の2020年度の売電価格は、21円/kWhです。2019年度は24円/kWhだったことを考えると、値下がりしていることが分かります。
・電気代の値上がりの懸念
また、電気料金は値上がりが懸念されています。2000年代初頭の電気料金と比べ、2011年の東日本大震災後の電気料金は大きく変わりました。原発事故の発生により全国で原子力発電の停止が相次いだことで、電気料金の価格も大きく影響を受けたためです。
さらに、原油価格の値上がりや再エネ賦課金単価の上昇などの影響もあり、電気料金は上昇傾向にあります。ちなみに、再エネ賦課金とは、固定価格買取制度によって必要になった買取の費用を、電気契約者全員が使用量に応じて負担する制度のことを指します。
自家消費型の種類について
自家消費型には大きく「全量自家消費」と「余剰売電」という2つのバリエーションがあります。それぞれの概要と仕組みを詳しく見ていきましょう。全量自家消費は蓄電池との併用が必要となるケースがほとんどです。
全量自家消費とは
全量自家消費とは太陽光発電で発電した電気を、全て家や会社などで自家消費することです。自家消費で発電した電力を使うため余剰売電は行われません。蓄電池と併用すれば、夜間でも発電した電気を使用できます。大幅な電気代の削減やCO2削減が期待できる仕組みです。
余剰売電とは
余剰売電とは、太陽光発電で発電した電気を優先的に自家消費しつつ、自家消費しきれなかった電気を売電に回すことを指します。電気代を削減できるうえに売電収入も得られるため、太陽光発電導入時にはスタンダードな方法です。
余剰売電の価格は10kW未満の住宅用設備の場合、導入後10年間は買取価格が国によって保障されます。10年後はいわゆる卒FITとなり、電力会社と契約した売電価格へ移行しなければなりません。電力会社と契約する売電価格は大幅に下落する現状のため、卒FITを迎えるときには全量自家消費へシフトする動きが多く見られます。
卒FITの世帯が増えている現在、蓄電池を購入する動きが進んでいます。国が蓄電池の普及を目指していることもあり、時期によっては国やお住まいの地方自治体から補助金を受給することもできます。蓄電池の導入を検討する際は事前に確認しておきましょう。
自家消費型の太陽光発電のメリット
売電収入が得られることは太陽光発電の大きな魅力のひとつです。しかし、自家消費型の太陽光発電にはそれを上回るメリットがあるといわれています。ここでは、自家消費型の多くのメリットをひとつひとつ確認しましょう。
電気代を抑えられる
自家消費型という言葉からも想像できるように、太陽光発電を導入すれば電気代を抑えられます。値上がりが懸念される電気代ですが、自家消費型の太陽光発電であれば家計の出費を減らせるでしょう。
また、発電して使いきれなかった電気は売電できるため無駄も発生しません。電気代の節約効果に加えて売電収入も期待できるため、太陽光発電を導入すれば経済的なメリットが得られます。しかし、現在は買電価格が売電価格を上回る状況のため、全量自家消費にシフトする動きが多く見られています。
停電時でも電気が使える
太陽光発電設備があれば、停電時でも日中は電気を使用できます。通常時家庭内での使用と売電を両方行う連係運転から、家庭内のみで使用する自立運転に切り替えができるため、予期せぬ停電にも焦らずに対応できるでしょう。
地震や台風などの災害による停電であっても、太陽光発電があればテレビで情報収集をしたり、携帯電話を充電しながら連絡を取ったりできます。天候条件や時間帯による制約はありますが、電気が復旧するまでさまざまな電化製品が使用できるのは心強い支えです。
環境保全へ貢献できる
太陽光発電は発電時に二酸化炭素を排出しません。二酸化炭素は地球温暖化の原因のひとつであり、日本をはじめとした世界各国で削減が求められています。
さらに、太陽光発電は再生可能エネルギーです。エネルギー源が枯渇することはなく繰り返し用いることができるため、石油や石炭のように将来的に資源が不足することを心配する必要もありません。太陽光発電を活用することは、環境保全へも貢献できる行為です。
中小企業の節税対策としても有効
太陽光発電は法人の場合、法定耐用年数の17年間、減価償却費として経費計上することが可能です。その上、自家消費型太陽光発電であれば、中小企業投資促進税制を活用できる場合があります。適用できれば、太陽光発電設備の取得価額の7%の税額控除を受けることが可能です。一方で、全量売電の場合は中小企業投資促進税制を適用することはできません。
また、全量売電は一事業として見なされます。そんな売電した発電事業者向け電力買取価格制度「FIP」が2022年4月から開始しました。FIPとは売電の際に市場価格にプレミア(補助金)が上乗せされた金額が支払われる制度です。FIP価格はFIT同様に20年間一律で、FIP価格はしばらくの間FITと同じ水準となる見込みです。売る相手やタイミングを選ぶなどの工夫をすれば、FITよりも売電収入を増やせる可能性があります。
自家消費型の太陽光発電の注意点
自家消費の割合を高めるとより多くのメリットを享受できる太陽光発電ですが、導入の際には注意しておきたい点もあります。しっかりとした見通しを立て、よりお得な自家消費型太陽光発電の導入を図りましょう。
設置スペースの確保が必要
太陽光発電の設備を設置するには、それぞれの機器を設置するスペースが必要です。太陽光パネルやパワーコンディショナなど太陽光発電設備をはじめ、全量自家消費を図るなら蓄電池などの関連設備の配置も考えなくてはなりません。屋根や庭など機器を稼働するための環境に合ったスペースが確保できるかをよく確認しましょう。
蓄電池を設置する場合は、低温や高温になりすぎず、結露しない場所が望ましいとされています。スペースに加え推奨される設置条件もあるという点は留意しておきましょう。
また、災害による停電時に太陽光発電で発電した電気を使用するためには、自律運転機能付きパワーコンディショナーの設置が必要です。停電時はパワーコンディショナーを「自律運転」モードに切り替え、自律出力用のコンセントに電化製品のプラグを差し込むことで通常通り電気を使うことができます。
メンテナンス費用がかかる
太陽光発電の設備は、改正FIT法によって設備の定期的メンテナンスが義務付けられています。4年に1回以上定期点検が推奨されている頻度です。
太陽光発電の設備は耐用年数が長く、保守管理も比較的簡単な設備です。しかし、太陽光発電の設備を長期間運用していると雨や風の影響を受けます。そうなれば、機器の不具合が生じる場合もあります。快適に太陽光発電の設備を使用するには、定期的なメンテナンスが大切です。
悪天候や夜間は発電できない
太陽光発電は太陽の光エネルギーを変換して発電しており、天候の影響を強く受けるものです。このため、曇りや雨の日、積雪時など天候が悪いと発電量が落ちてしまいます。夜間も太陽が沈んでいるため、発電はできません。
また、発電効率やさまざまな天候への向き不向きは、太陽光発電設備の設置状況によって変わります。太陽光パネルの設置環境を加味して、適した設備を選定しましょう。
その他の対策としては、好天時の余剰電力を蓄電池に蓄積して使うという方法がありますので、悪天候や夜間に発電できないことが気がかりの方は、ぜひ蓄電池の導入を検討してみてください。
太陽光発電の自家消費率を高めるポイント
太陽光発電による電力消費は自家消費率を上げるほど、お得になります。ポイントは「発電する時間帯を長くする」「蓄電池を導入する」です。これらのポイントがどのように作用するか解説します。
太陽光パネルの方角を工夫する
太陽光発電は、太陽光パネルに当たる直射日光の量に比例して発電効率も上がります。そのため、太陽光パネルを設置する方角も大切なポイントです。屋根の形状が寄棟や方形など4方向に面がある場合は長く光が当たるようにパネルを設置するのも自家消費率を上げるためには有効な方法といえるでしょう。
ご自宅の状況によっても最も発電効率の高い方角は異なるため、実際に導入をすすめる際には業者に周辺環境の状況も踏まえて相談してみることをおすすめします。
太陽光発電で蓄電池を充電する
太陽光発電では夜間の発電は行えませんが、昼間に発電した電力を蓄電池に貯めて夜に使用すれば、自家消費率を大幅にアップできます。自家消費率を上げたい方は、蓄電池の導入を併せて検討するのがおすすめです。
ただし、蓄電池は発電設備の発電能力にマッチする容量を選ぶ必要があります。大きすぎれば能力を生かしきれず導入費用が大きくなり、小さすぎれば発電した電力を有効活用できません。また、既設の太陽光発電と連携する場合は蓄電池が対応しているかどうかも重要です。
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まとめ
売電単価が低下し、電気料金が値上がりする昨今、自家消費型の太陽光発電はスマートな選択肢として検討する価値があります。また、停電時に使用できる点、環境保全に役立てる点も見逃せません。
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