家計と環境の両方にやさしい太陽光発電ですが、注意点のひとつが発電量です。設備を導入しても、発電量が少ないと十分な経済的効果を発揮できません。太陽光発電に興味があり、時期や天候による発電量の違いを知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、太陽光発電の発電量の目安についてご紹介します。1日あたりの発電量や1年のなかで発電量が多い時期をチェックしましょう。発電量の増やし方や設置後の注意点も分かります。
発電量の前に太陽光発電の基礎知識を知ろう
太陽光発電についてまずは基本的な仕組みやメリットを理解しましょう。発電量が増えることで結局何がお得なのかを把握すると、発電量に関する理解は一層深まるでしょう。
合わせて発電量を計算する際に頻出する単位についてもご紹介します。
太陽光発電の仕組み
太陽光発電を構成している主な設備は、太陽光をエネルギーに変える太陽光モジュール(パネル)です。モジュールで太陽光のエネルギーを吸収して電気エネルギーに変換します。変換された電気エネルギーは接続箱でまとめられ、直流電源としてパワーコンディショナに送られます。パワーコンディショナの役割は、受け取った直流電流を家庭で使える交換電流に変換することです。変換後の交流電流が分電盤から各出力地点に送られ、家庭で使えるようになります。
発電量で収入が左右される
太陽光発電には売電制度というものがあります。発電した電力のうち余った分を電力会社に買い取ってもらうという制度です。この制度によって、発電したが使い切ることのできなかった電力を無駄にすることなく節約につなげることができます。
太陽光発電というと環境に優しいクリーンなエネルギーというイメージが強いですが、経済合理性があるという点も太陽光発電の大きなメリットとなっています。
発電容量の単位について
kWとkWhが、太陽光発電を知る上でぜひ覚えておきたい2つの単位です。kWは瞬間的に生み出せる電力で、太陽光モジュールやパワーコンディショナの性能を表す際に用いられます。
kWhは実際に生み出した電力量で、1時間あたりの数値です。たとえば、kW数が高い設備でも天候などの理由で電力量が落ちるとkWhが低くなる場合があります。
太陽光発電の発電量を算出して分析!
発電量は月や時間帯による発電量が大体決まっているため、設置場所さえ決まれば1日あたりどれくらい発電できるかを計算することができます。ここでは月別、時間別の発電量と計算方法についてご紹介します。
月別の日射量と発電量の求め方
発電量に大きく影響を与える日射量は、住んでいる地域や時期などで違いが出ます。下記は東京の日射量をもとに作成した1日あたりの発電量の目安です。
発電量を出すために使用した計算式は「日射量(kWh/平方メートル)×0.85」です。0.85は発電効率を落とす要因による発電量の損失を表わす損失係数の数値で、太陽光モジュールの汚れや温度上昇、パワーコンディショナの変換などによる損失を含みます。メーカーや設備で損失係数が異なるため、発電効率の高い機器を選ぶのがよいでしょう。
発電量が多いのは4月・5月
1年のうち発電量が多いのは日照時間の長い7月、8月だと思う方も多いでしょう。しかし、実際に月別の発電量を分析した結果を見ると、発電量が多いのは4月、5月です。これは太陽光パネルが高温になりすぎると発電効率が落ちてしまうことが関係します。発電に最適なパネルの温度が25度であるのに対して、夏場は70度~80度まで上がります。そのため、気温があまり高くなく日照時間も比較的に長い4月,5月の発電量が多くなります。
変換効率がいいのは冬
高い発電効率を誇るのは冬で、気温が高い夏とは逆に寒さが発電効率にプラスの影響を与えます。太陽光発電協会の資料よると、発電効率の損失が小さいのは12月~3月の間となっています。ただし、日射量が比較的少ない冬はトータルの発電量もあまり多くはありません。
日射量の多い時間帯
1日のうちで発電量が多いのは昼間の時間帯です。夏と冬で多少時間の違いはありますが、日の出から発電を開始し12時前後にピークを迎え、日の入りで発電が終わります。
注目したいのは、午前よりも午後の発電量が少ないときがある点です。日射量は同じ状況でも午後になると発電量が少なくなるのには、太陽光モジュールの温度上昇が関係しています。
朝から太陽光を浴び続けているとモジュールは少しずつ熱を帯びてくるため、午後には高い発電効率を発揮できません。このような理由から特に夏の午後は発電量が少ない傾向にありますが、夏以外の午後は比較的高い発電効率を維持します。
天候によってどれくらい発電量が変わる?
発電量は月や時間帯によって変わる以外に、天候でも大きく変わります。晴天だと発電量が高いのは簡単に想像できますが、曇天や雨天ではどのような影響があるのでしょうか。地域によっては降雪が与える影響を心配している方もいるでしょう。そこで、天候と発電量の関係について解説します。
曇天でも発電はされる
晴天に比べると、日射量が減る曇天は発電量も減ります。ただし、直射日光が設備にあたらないときでも、十分な明るさがあれば発電量はゼロになりません。たとえば、気象庁によると、曇天の日の紫外線は快晴の日と比べても60%ほどあるとしています。
年間で見ると曇天で発電量が減る割合は12%ほどなので、曇天が発電量に与える影響を心配する必要はあまりないでしょう。
(参考:『気象庁』:
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-73uvindex_mini.html)
雨天・降雪時の発電量は1kWあたり1kWhに満たない
曇天でも太陽光発電はある程度機能しますが、雨天や降雪時には発電能力が著しく下がる時があります。雨天や降雪時は曇天に比べて雲が厚く、太陽光が届かないためです。
地域にもよりますが、降雪が多い12月や1月は発電量が1kWあたり1kWhに達しないときもあります。東京の1日あたりの発電量は12月が1 kWあたり1.94kWhなので、降雪時は約半分の発電量になることもあるでしょう。6月や7月は梅雨の季節となるため4月や5月、8月に比べると日射量が減るのが一般的です。
太陽光発電の発電量を増やす方法
平均日射量が少ない地域に住んでいる方は、発電量を増やす方法を試してみましょう。住んでいる地域の平均日射量が多い場合であっても、発電量を増やす方法を探るのは大切です。間違った方法を取ると発電量が減り、平均日射量が多い地域に住んでいても損をしてしまいます。
太陽光モジュール(パネル)は設置向き
発電量に影響を与える日射量を考えると、太陽光モジュールは基本的に南向きがおすすめと言われています。太陽光があたる時間が長くなり、発電量が多くなります。しかし東と西側に設置しても、大きな誤差はなく発電量は大きく変わらないと考えてよいでしょう。
これから新築を建てるという方は、太陽光発電を考慮した設計にしてもいいかもしれません。しかし設置環境によって、発電量も変わってくるので、設計については過去の実績が豊富な業者に相談するのが一番良いでしょう。
定期メンテナンスを依頼する
時間の経過とともに設備に不具合が生じるケースもあるため、定期メンテナンスを依頼するとよいでしょう。太陽光発電協会が電気事業法などにもとづいて指定している戸建て住宅用設備の点検頻度は、4年に1回以上です。
定期メンテナンスでは、太陽電池の破損やパワーコンディショナの変換効率の悪化を直してもらえます。
太陽光発電の発電量チェックは導入後も定期的に
太陽光発電の導入直後は設備が発電しているのを見るのがうれしくて、頻繁に発電量をチェックしたくなるでしょう。しかし、発電があたり前に感じるようになると、チェックの回数が当初より減ることがあります。
チェックを忘れていると起こりうるのが、設備が故障していて何日も発電していなかったという事態です。発電量が完全にゼロになっていなくても、発電量が少なくなっている場合もあります。
設備が故障した際には保証を使って無料で修理を依頼できることもあるので、速やかに対応してもらうのがよいでしょう。メンテナンスの一環としても、発電量の定期チェックは大切です。
まとめ
太陽光発電の発電量に影響を与える天候などの要素は地域でそれぞれ異なります。まずは自分の地域の日射量を調べるとよいでしょう。また、メンテナンス不足による設備の不備や修理の対応が遅れることは発電量を著しく下げてしまうため、これから設置を検討している人はアフターサービスが充実している設置業者に依頼するとよいでしょう。
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