国内の太陽光発電の導入量は、住宅での自家消費を目的としたものも含め、2021年度は6,600万kWでした。2011年度からの10年間で実に12倍と急速に伸びていますが、同時にさまざまなトラブル事例も増えているようです。
住宅用の太陽光発電については、発生しうるトラブルは大きく2つに分けられます。太陽光発電設備の設置業者とのトラブルと、近隣住民とのトラブルです。
そこでこの記事では、太陽光発電にまつわる、よくあるトラブル事例をご紹介します。それぞれのトラブルを回避するための対策もしっかり網羅しますので、これから導入を検討している方は参考にしてみましょう。
太陽光発電の故障などに関するトラブル事例
住宅用の太陽光発電におけるトラブルで目立つのは、設備の故障や不具合の問題です。「パネルやパワーコンディショナが破損した」「発電量が業者の説明と違って少ない」といった事例が挙げられます。設備トラブルのリスクを最小限にできるよう、事例と回避策をおさえておきましょう。
パネルの破損や故障
設備トラブルで考えられるのが、太陽光パネルの破損や故障です。パネルが故障すると発電に支障をきたすだけでなく、破損したパネルが隣家の近くに落下して二次被害をもたらす恐れもあります。パネルの破損箇所から発火するケースもあるため注意が必要です。
こうしたパネルの破損や発火の主な原因としては、台風などの自然災害が挙げられます。2022年度の台風15号や、同年に発生した埼玉県、群馬県での雹災害の被災地域では、パネルの落下や発火などがいくつか報告されました。
外的な力による被害をできる限り未然に防ぐためには、点検・メンテナンスが大切です。専門業者に依頼して架台に傷みがないかなどを定期的に点検・メンテナンスするとともに、パネルの破損や発電量の急激な低下がないかといったことを自身でも意識して確認しましょう。
パワーコンディショナの出火
太陽光発電設備のうち、「パワーコンディショナ」の発火も報告されています。パワーコンディショナは、太陽光で発電された電気を家庭で使える電気に変換したり、発電システム全体を制御したりする役割をもつ機器です。メーカーによって違いはありますが、多くは箱形のユニットで、住宅の内部か外部に設置します。
消費者庁によると、2017年11月までの約10年間に、住宅用の太陽光発電施設から発火する事故は、パネルからの発火も含めると127件ありました。そのうち同庁が調査対象とした72件の中で、パワーコンディショナまたは接続箱から発生した火災事故等は59件とされています。多くの出火原因とされているのが初期の施工不良です。
ねじ締め不足や施工不良で生まれた隙間から侵入したものによる出火が報告されています。本来、太陽光発電システムは長く使えるものです。リスクを減らし、長く使用するためには、実績のある業者に依頼することが重要となるでしょう。また、施工不良によるもの以外にも落下物による破損が原因となるケースもあります。
パワーコンディショナは、太陽光発電のいわば心臓部です。ここからの発火や故障は致命的ですので、専門の業者に定期的なメンテナンスを依頼して、常に状態を確認しておきましょう。
発電量が少ない
設備の故障は発電量の低下を招く可能性もあります。太陽光パネルの劣化率はメーカーによって異なりますが、ほとんどないと考えられています。基本的に太陽光パネルの耐用年数は30年以上といわれており、年で換算する劣化率もごくわずかです。
もし、設置から時間がたっていないのに、発電量が極端に下がるようでしたら、施工ミスや配線ミスの可能性があるかもしれません。早めに設置業者に点検を依頼しましょう。
しかし、太陽光発電は日射を太陽光パネル受けることによって発電する仕組みです。天候により、想定していた発電量を得られないケースもあります。こうしたケースも想定したシミュレーションを立ててくれる設置業者を選ばなければ、トラブルリスクが増えることを覚えておきましょう。
悪質業者によるトラブル事例
太陽光発電が普及するにつれ、悪質業者によるトラブルも増えています。きちんとした施工体制をもたない業者に依頼すると、正常な発電量が得られないばかりか、屋根からの雨漏りやパネルの落下といったトラブルに見舞われる可能性もあるでしょう。また、場合によっては、法外な契約金を求める業者もいます。ここでは、悪徳業者によるトラブル事例をまとめました。
設置後の雨漏り
業者によって引き起こされるトラブルのひとつが、太陽光パネル設置後の雨漏りです。この場合、施工ミスの可能性が高いでしょう。パネルは、屋根に設置した金具に固定して設置します。金具を設置するために屋根に穴を開けることになりますが、この際に何らかのミスが発生しているケースが考えられるでしょう。
問題なのは、施工業者に連絡しても雨漏りとパネルの設置は関係ないといわれ、雨漏りの補修費用が自己負担になってしまうケースがあることです。雨漏りとパネルの設置との因果関係は自分で証明するのは難しく、泣き寝入りせざるを得なかったケースもあります。
こうしたトラブルを避けるためには、事前に信頼できる業者かどうかチェックすることが大切です。万が一のときのために、保証内容についても確認しておきましょう。
法外な契約金額
悪徳業者の手口のひとつに、甘い話をもちかけて法外な料金を請求するというものがあります。「太陽光発電は儲かるから」といった常套句を使い、設備費やシステム料として相場をはるかに上回る金額を提示する業者もいるようです。
その際、「もうすぐ国の買取制度が終わってしまうから」などと事実でないことを示して決断を急がせるような営業をかけてくるケースもあるでしょう。トラブルを避けるために、事前に契約内容や見積もりをきちんと確認しましょう。少しでも不安を感じたら、その場では決断せずに一旦もち帰って検討する冷静さも必要です。
近隣住民とのトラブル事例
太陽光発電の設置業者だけでなく、近隣住民とのトラブルも報告されています。災害で近隣の家の前にパネルが落下してしまうという問題はイメージしやすいかもしれませんが、太陽光パネルからの反射光がまぶしいといった苦情を受けるケースもあるようです。こうしたトラブルを起こさないためにはどうすべきか、事例とともに紹介します。
光や音のトラブル
太陽光発電設備についてのトラブルで、「光」と「音」による問題について聞いたことがある方もいるかもしれません。例えば、太陽光パネルにあたった太陽光が反射してまぶしいという苦情です。
反射光によるトラブルは事業用の野立て設備で起こっています。家庭用太陽光発電設備は屋根に設置することがほとんどであるため、光のトラブルが問題になることはまずありません。
また、太陽光パネルを北側に傾斜して設置している場合も、反射光がまっすぐ北側へ向いてしまうことがあります。しかし、発電効率をよくするために太陽光パネルは南面や東西面の屋根に設置することが一般的です。この懸念もごくわずかのケースのみと考えてよいでしょう。
また、パワーコンディショナが発する動作音も苦情の一因になるケースがあります。設置場所はよく考えた上で、信頼できる業者と相談しながら決めましょう。
降雪によるトラブル
雪によるトラブルは、野立てでも屋根置きでも起こりえる問題です。パネルは太陽の向きにあわせて傾斜しているので、雪がパネルを滑り台のように流れ落ちてしまいます。
対策のひとつは、パネルの設置の仕方を工夫することです。屋根の先端とパネルとの間隔をあけるだけでも違うでしょう。また、パネルからの落雪を防止するストッパーも、最近では複数のメーカーが販売しています。雪の降る地域でパネルを設置する際には、こうした対策を施すことが必要です。
天災や野生動物による被害
災害に起因する太陽光パネルの落下や設備からの発火は想定しておきたい問題のひとつです。2021年の九州、中国地方豪雨では、被災地域の一部で太陽光パネルが周辺の土砂とともに流出した例があるほか、住宅の屋根に設置されていたパネルが飛散するという被害も報告されました。
こうした問題を受けて、経済産業省は2023年7月、家庭用の太陽光発電も含め、発電者に対して安全対策を施すよう注意喚起をしています。「災害対策に何をすべきか分からない」といった場合は設置業者と相談してみるとよいでしょう。
また、カラスが太陽光パネルに石を落とすといった被害もあります。こうした被害が想定される場合はカラスが嫌がるような光を発する装置を置いたり、毎日目視で太陽光パネルの状態を確認したりする対策を実施しましょう。
太陽光発電の導入前に確認するべきこと
太陽光発電を自宅に設置するにあたっては、業者選びが重要です。悪徳業者につかまらないよう、しっかりと見極める必要があります。万が一太陽光パネルなどの設備が損傷し、自宅や近所の住宅が被害を受けた場合には、どのような補償があるのかも重要確認項目です。ここでは、導入前にしっかり対策できる方法をご紹介します。
業者の選び方
業者を選ぶポイントのひとつは実績です。太陽光発電自体、この10年ほどで普及が進んだ比較的新しいエネルギー形態なので、事業を始めて数年しか経っていないという業者も珍しくありません。安全性を重視するなら、評価が高いだけでなく施工実績が豊富な業者を選びましょう。
「名刺を渡さない」「即決を迫る」「太陽光発電についての知識が乏しい」「特定の製品だけを強く勧めてくる」といったことがあれば、悪徳業者の可能性が高いので注意が必要です。質問にしっかり答えられるかどうかもよい業者選びのポイントになります。一度のアポイントで決めず、しっかりと話し合いを積み重ねた上で契約するようにしましょう。
業者の保証範囲
業者を決めるにあたって、保証の範囲・内容もしっかり確認しましょう。万が一施工後に雨漏りした場合に保証が使えるかどうか、天災で太陽光パネルが損傷した場合の対応はどうなっているのかなど、想定されるトラブルについて細かく確認することが重要です。
太陽光発電設備は、損傷したら自分では修理できません。保証がどこまで及ぶかは重要なポイントです。保証の範囲や期間は同じ業者内でも使うメーカーによって異なる場合があります。
内容について分からないことがあれば、しっかり疑問をクリアしてから契約しないと、設置後に「思っていた保証がついていなかった」などのトラブルになりかねません。長く使う設備だからこそ保証は重要です。保証内容に併せて点検・メンテナンス体制についても確認しておきましょう。
まとめ
太陽光発電に関するトラブルはいくつかありますが、多くの問題は事前にきちんと対策を講じることで回避できます。最も重要なのは、信頼できる業者を選ぶことです。
リベラルソリューションは、業界実績16年で豊富な施工実績を誇ります。充実した保証制度もあるので安心です。太陽光パネル(モジュール)は20年~25年、パワーコンディショナなどのシステム部材は10年~15年の保証を用意しています。
リベラルソリューションでは、住宅リフォームやスマート電化事業も手がけているので、パネル設置などの施工技術に優れているだけでなく、電気代節約の方法までトータルで提案できます。太陽光発電の導入を検討しているなら、ぜひ一度ご相談ください。