太陽光発電設備の導入を検討している方の中には、必要な設備やメリットデメリットについて把握しておきたいという方もいるのではないでしょうか。必要な設備の仕組みや耐用年数を知ることで、メリットやデメリットについての理解を深めることができます。
そこでこの記事では、太陽光発電に必要な設備や、メリットデメリットについてご紹介します。環境によく経済的にうれしい、太陽光発電設備の特色を把握しましょう。
太陽光発電に必要な設備
太陽光発電システムは複数の設備を必要としますが、発電機能に直接かかわる重要な設備は、太陽光パネルとパワーコンディショナの2種類です。光エネルギーを受けて電力をつくる太陽光パネルと、電流の変換や電力の調整を行うパワーコンディショナについて解説します。
1.太陽光パネル
「太陽光パネル(ソーラーパネル)」の内部は発電をする「セル(太陽電池)」を複数接続した「モジュール(太陽電池モジュール)」が大量に並んだ構造です。
多くの太陽光パネルではセルの素材にシリコンを用いています。光エネルギーを吸収することで半導体内の電子が動き、電気エネルギーに変換できる仕組みです。これを「光起電力効果」といい、セルに電極をつなぐことで電力を取り出します。
2.パワーコンディショナ
電流は、時間によって方向が変化しない「直流電流」と、周期的に方向が変わる「交流電流」の2種類があります。太陽光パネルでつくる電気は直流電流ですが、家庭で使用している電気は交流電流です。「パワーコンディショナ」は、太陽光パネルから流れる電気を直流電流から交流電流に変換すると同時に、電力の安定化を図っています。
太陽光パネルでつくった電気を住宅に引き込んだり、売電のために送電線に流したりするためには、パワーコンディショナによる電流の変換と電力の安定化が必要となるため、太陽光発電設備には不可欠な機器といえるでしょう。
太陽光発電の設備の耐用年数
太陽光パネルを屋根に設置した場合、基本的にメンテナンスは事業者に依頼しますが、発電の状態をチェックしていくことが重要です。太陽光パネルとパワーコンディショナの耐用年数について見ていきましょう。
太陽光パネルの耐用年数
一般的に、太陽光パネルの耐用年数は30年ほどといわれています。ただし、家庭用太陽光発電設備が普及してから歴史が浅いこともあり、普及から時が経つにつれて耐用年数も伸びている傾向です。実質的には50年以上の寿命をもつのではないかといわれています。
太陽光パネルのセルは化学的に発電を行うため、発電システム自体には機械的な可動部がありません。さらに、セルはモジュール表面のガラスや充填剤で保護されており、ダメージを受けにくい構造です。
ただし、太陽光パネルの架台や接続ケーブルなどに関しては、風雨や塩害などによる腐食がありえます。ガラス表面の汚れにより発電効率が落ちるケースもあるため、定期的なメンテナンスは必要です。
パワーコンディショナの耐用年数
耐用年数が長いといわれる太陽光発電設備の中でも故障が多い部品はパワーコンディショナです。少し前までは耐用年数は10年ほどといわれていました。現在はそれよりも長く使用されているパワーコンディショナも多く、実績から耐用年数は伸びていると考えられます。
住宅用のパワーコンディショナはエアコンの室外機ほどのサイズ感で、機械的な可動部もあれば吸排気口もある構造です。室内に設置できるケースもありますが、室外に設置する場合は、風雨による経年劣化やフィルタの目詰まりなどが故障を起こす原因となることがあります。
太陽光発電のメリット
太陽光発電設備を導入すると、自家発電分で自宅の電力消費を賄いつつ、余剰電力を売電することによって収入を得ることが可能です。
さらに、蓄電池を導入すればメリットは大きくなります。ほかにも断熱効果や気候変動対策など、豊富なメリットのあることが太陽光発電の魅力です。ここでは太陽光発電設備を導入するとどのようなメリットがあるのかを5つ紹介します。
電気代を節約できる
太陽光発電設備の導入によって最も実感を得やすいメリットは、月々の電気代を安くできることです。パワーコンディショナで変電した電気は分電盤から自宅に供給できるため、それまで電力会社から供給を受けていた消費分の一部を、太陽光発電でつくった電力消費に置き換えられます。
ただし、太陽光発電設備にあるのは発電機能だけで、蓄電機能はありません。蓄電池も設置すれば、日中発電した余剰電力を夜間に利用することも可能です。
電気を売ることができる
太陽光発電による日中の発電量は多く、自宅で使いきれない場合があります。余剰電力が出た場合には、自宅ではなく電線に送ることで、電力会社に売ることも可能です。
「固定価格買取制度(FIT)」を利用すれば、自宅に設置するのが10kW未満の発電設備の場合、10年間は固定価格で売電できます。固定価格での買取期間が満了したあとも、電力会社との自由契約により売電を続けることが可能です。
災害時でも電気を使える
地震や台風などの災害時には、発電所や送電設備などのトラブルにより、停電となるケースがあります。停電時には日常生活に支障をきたしますが、太陽光発電システムを導入しておけば、日中の電力の不安は軽減できるでしょう。
日照があれば、家庭内で電気が使えます。停電時に夜間にも電気を使いたい、日中の使用電力を増やしたいのであれば、蓄電池が必要です。蓄電池を併用することで、停電時でも昼夜を通して普段に近い状態で電気が使えるようになります。
断熱効果がある
屋根に太陽光パネルを設置する場合、夏場は室内を涼しく、冬場は室内を暖かく保つ効果が期待できます。太陽光パネルが屋根材への直射日光を遮るため、夏場は屋根への直射日光による温度上昇を抑制し、冬場は屋根へ熱を逃しにくいことがメリットです。
環境に優しい
太陽光発電は、光起電力効果による電子の移動で電力を生むため、気体と関わりなく発電します。火力発電の大きな問題は発電プロセスでの温室効果ガスの排出ですが、太陽光発電での排出はありません。
また、火力発電で使うのは、採掘を必要とする有限な化石燃料が主なエネルギー源です。太陽光発電のエネルギー源は太陽光であり、エネルギー源が枯渇することは考えられません。ほぼ無限の再生可能エネルギーでクリーンな発電を行えることも、太陽光発電の大きなメリットです。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電には多くのメリットがあり、政府の後押しもあって、今後ますます発展していくことが期待できます。しかし、再生可能エネルギーを受動的に利用するというシステムであるため、発電量が日射量に依存することはデメリットです。また、発電設備を屋外に設置することによる、メンテナンスの必要性にも注意しましょう。
日射量に左右される
太陽光発電で大きな発電量を得るには、太陽光パネルに十分な日光をあてることが必要です。日中でも太陽光パネルが日陰になる場合は発電量が落ち、太陽に対する屋根の向きや、周囲の建築物との位置関係などによって発電量は変わります。
太陽光パネルを真南に向けて、傾斜角30度ほどで設置すると効率的に日射を得られ、十分な発電量を得ることが可能です。逆に真北向きであったり、建築物によって日光が遮られたりすれば、大きな発電量は得られません。曇りや雨の日など、直射日光を受けない場合でも発電は可能ですが、日射量によって発電量が変わることには注意しましょう。
メンテナンス費用がかかる
「太陽光パネルはメンテナンスフリーだ」という声も聞かれますが、発電効率を落とさず運用していくには、さまざまなメンテナンスが必要です。
太陽光パネルのガラス面は雨で流れ落ちない鳥のふんや粉じんなどで汚れていき、放置すると故障や異常発熱の原因にもなります。屋根ではなく地面に太陽光パネルを設置するなら、草刈りが必要な状況もあるでしょう。パワーコンディショナはフィルタの清掃も必要です。発電設備は素人が機器の点検・メンテナンスをすることは難しいため、業者に依頼する必要があります。
また、自分で機器の点検がしづらいことから不具合に気づきにくいこともデメリットです。ちょっとした不具合にも早い段階で気づくためには毎日パワーモニターで発電量をチェックするとよいでしょう。
蓄電池を導入するとさらにお得に使える!
太陽光パネルは発電機能だけでも大きなメリットをもちますが、太陽光発電のメリットを最大化するなら蓄電機能も追加しましょう。
蓄電池もあわせて導入すれば、発電量が多い日は電力をストックし、少ない日に使うというコントロールが可能です。昼間の余剰分を蓄電して、夜間の電気代を削減するという使い方もできます。災害時の備えとしても、蓄電池に電力をストックしておければ安心です。
太陽光発電の発電量は日射量に左右されるため、天気によって毎日の発電量は異なります。しかし、蓄電池があれば日射量の変化によるデメリットの解消が可能です。安定して太陽光発電設備を運用するという意味でも、蓄電池も導入することを検討しましょう。
まとめ
太陽光発電をはじめるには、太陽光パネルやパワーコンディショナといった設備が必要です。長く付き合う設備だからこそ設備の仕組みを知って、しっかりと点検・メンテナンスを行うことをおすすめします。昼間に発生する余剰電力を賢く活用するには、蓄電池もあわせて導入しましょう。
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