太陽光発電の設備は、どのような屋根に設置できるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、太陽光パネル(モジュール)が設置可能な屋根について紹介します。
設置条件を知ることで、今の住まいに設置が可能か、設置する際には何に気をつければよいかが分かるでしょう。取り付ける際の最適な角度や方位についても詳しく解説していきます。
屋根の形によって太陽光発電の設置方法が変わる
太陽光発電システムを設置するうえで重要なのが屋根の形です。ここからは、屋根の形ごとの設置の仕方や注意点を紹介します。自宅の屋根の場合はどのような設置方法が考えられるのか、これから新築する場合はどのような点に気をつけて屋根の形を決めればよいかが分かるでしょう。
一般的な屋根「切妻(きりづま)」
2枚の長方形あるいは正方形から成る屋根を「切妻(きりづま)」といいます。イラストなどでよく見る三角屋根の家をイメージすると分かりやすいでしょう。側面から見るとヘの字型になっています。丈夫で雨漏りしづらく、屋根の面積が比較的広いため、太陽光パネルを設置しやすい形となっています。
南向きの1面、または東向きと西向きの両面に設置するのが一般的です。設置の際は小さいパネルと大きいパネルを組み合わせて無駄なスペースがないように設置できるとよいでしょう。
4面ある屋根「寄棟(よせむね)」
「寄棟(よせむね)」は、台形と三角形2枚ずつを寄せて作る屋根のことです。面と面の境界線が多いことから、施工やメンテナンスに費用がかかります。
パネルを設置する場合は、屋根の方角を確認しましょう。4面あるため設置位置が選びやすいという利点もありますが、1面あたりの面積は狭くなります。効率的に設置するには三角形のパネルをうまく組み合わせるとよいでしょう。
真っ平らな屋根「陸(りく)屋根」
屋上となる水平な屋根のことを「陸(りく)屋根」あるいは「平屋根」といいます。傾斜がないため雨漏りのリスクがある屋根型です。防水処理の手間などから太陽光パネルの設置に費用がかさむ場合もあるでしょう。
ただし、パネルを設置するうえで屋根の方角を気にしなくてよい点はメリットといえます。架台を南の方角に向けることで、効率的な太陽光発電が可能です。
1枚の長方形型の屋根「片流れ」
1枚の長方形や正方形でできた屋根が「片流れ」です。片流れは、施工費用が安く抑えられる上、雨漏りの心配がありません。ただし、排水の詰まりには注意が必要です。こまめに雨どいをチェックすることをおすすめします。
屋根面積が広いため、パネルを多く積むことができるのがメリットです。とくに南向きの屋根がよいと一般的には言われていますが、地域、設置環境によって変わるので、導入検討の際には実績が豊富な業者に相談すると良いでしょう。
耐雪仕様の屋根「無落雪屋根」
中央部に向けて勾配を付けたスノーダクト方式、ほぼ水平の形状に雪を積もらせるフラットルーフ方式などがある屋根を「無落雪屋根」といいます。北海道や東北などで使用されやすく、太陽光や融雪ヒーターなどで屋根の雪を溶かす構造になっています。雪下ろしが不要になり、屋根から雪や氷柱が落下することを防げることが特徴です。
屋根に雪を積もらせる構造になるため、積雪量が多いとパネルと雪の重みで屋根に影響が生じることがあります。パネルは傾斜を付けるので雪が積もりづらくなっていますが、降雪地帯への導入検討の際には無落雪屋根の施工実績が豊富な業者に相談すると良いでしょう。
屋根の向きで太陽光発電の発電量が変わる
屋根の形だけでなく、向きによっても太陽光発電の発電量は変わります。理想的な方位に設置することで、より効率よく発電させることが可能です。ここからは、方位による発電量の違いを紹介します。屋根の形とあわせて、どの方位が最適かを考えてみましょう。
屋根の方位と発電量の関係
同じ容量のパネルを設置する場合でも、屋根の方位によって発電量が変わります。理想的な方位はもっとも多く太陽光を浴びることができる南向きと言われています。
一軒家を建てる場合、リビングなど家族が長時間過ごす場所は南向きに作られることが多いでしょう。太陽光発電システムの設置が前提で建てられたZEH(ゼッチ)やスマートハウスでは、屋根も南向きで設計されるケースが大半です。しかし、設置環境にとってベストな方角は変わるので、太陽光発電の専門知識に長けているスタッフのいる業者に相談することをおすすめします。
理想的な設置位置は「南向き」
方位別で最大の発電量が得られるのは南向きだといわれています。太陽光発電では、パネルを置いても太陽光が当たらなければ効率よく発電できません。
1日のなかでもっとも太陽光の量が増えるのは正午です。一般的には、この時間に太陽光が当たる南向きに設置することで効率的に発電できます。ベランダやリビングが南向きに設計されていない家でも、特殊な形状の屋根でない限り、南や南西・南東に向けてパネルを設置することは可能なケースが多いでしょう。
しかし東向きと西向きが設置に向いていないかといえばそうではありません。真南面に比べて時間当たりの日射量が減っても総発電量はほとんど変わらず、東西の2面に設置できれば南1面よりも長時間太陽光を得られるというメリットがあります。実際に導入事例も多数あるため、正確なシミュレーションをしてくれる業者に相談してみましょう。
太陽光パネルを屋根に設置するときの角度
太陽光パネルを屋根に設置する際には、屋根の形や方位に加えて、傾斜角も大切です。理想的な角度を知っておくことで、より効率的な発電ができます。屋根の勾配によっては、パネルの角度を調整することも検討しましょう。ここからは、理想的な設置角度とその理由について解説します。
30度になるように設置するのが理想的
太陽光パネルの設置角度は、少しだけ傾斜をつけた30度が理想的とされています。ただし、日本国内でも地域によって緯度が異なる点に注意が必要です。たとえば沖縄は北緯27度なのに対し、北海道は北緯45度と開きがあります。目安として、太陽光パネルを沖縄に設置する場合は18度、北海道に設置する場合は35度ほどが最適な設置角度です。最適な発電効率を得たい場合、設置事業者に発電効率のシミュレーション結果を出してもらうことで正確なデータを得やすくなります。
傾斜角で発電効率も変わる
最適な発電効率を得たい場合、設置事業者に発電効率のシミュレーション結果を出してもらうことで正確なデータを得やすくなります。
なぜ傾斜角が大切かというと、傾斜角によって発電効率が変わるからです。発電量の差は数パーセント程度ですが、方角と違って住宅環境に左右されない項目なので、導入する際には全国で設置実績が多数ある業者に依頼するとよいでしょう。
太陽光発電の屋根に関する疑問を解決
ここでは、太陽光発電の屋根について、疑問をもたれることの多い事柄をまとめました。たとえば、屋根による費用の差や屋根へのダメージなどは、特に気になるところです。基本的な知識を得ておくことで、実際に設置するイメージが湧きやすくなるでしょう。
屋根の素材や構造で設置費用は変わるの?
太陽光発電の設置費用は、屋根の素材や構造によって変わります。屋根には、スレート屋根や瓦屋根などさまざまな種類があり、架台などの部材や作業工程なども違ってくるためです。
スレート屋根の場合は設置費用が比較的低価格で済むと言われています。ただし、10年前後で防水塗装のメンテナンスが必要です。メンテナンスを依頼するのは負担となってしまいますが、設置業者の中にはメンテナンスを無料で行ってくれる業者もあります。
瓦屋根は強度が強く、耐久年数が長い点がメリットです。しかし、穴を開けにくく、作業工程が増えるため設置費用は比較的高くなる可能性があります。
太陽光発電の設置で屋根は傷むの?
太陽光パネル1枚あたりの重さはおよそ12~16kgです。20枚程度載せるとして、パネルの重量は約240~320kgになります。そこに架台の重さが加わるので、総重量は約340kg~420kgほどです。
ただし、負荷が1か所に集中するわけではなく、設置範囲に沿って分散されるのが一般的です。家屋に構造上の問題がある場合や築年数が古い場合を除けば、気にする必要はないでしょう。どうしても気になる場合は、軽量型のパネルを選ぶことをおすすめします。
屋根面積によって発電量はどの程度差が出るの?
家庭用太陽光発電で1kW発電するために必要な屋根面積は8㎡ほどです。気象庁のデータによると東京都における日照時間は月100時間から200時間程度なので、単純計算では屋根面積が8㎡広くなると発電量が月間100kW~200kW増加します。
ただし、屋根の形状が寄棟のように複雑である場合は太陽光パネルを設置できる場所が少なく、1kWの発電に要する屋根面積が広くなります。陸屋根のように水平である場合は角度を付けるために大型の架台が必要になるため、屋根面積1㎡あたりの発電効率は低下することが一般的です。メーカーによっては寄棟屋根に対応した太陽光パネル、陸屋根専用の架台を取り扱っている場合があるので、導入を検討の際にはメーカーサイトや施工業者から情報収集を行いましょう。
自宅の屋根の面積や勾配を知る方法は?
自宅の屋根の面積を知るには、屋根伏せ図を見るのがおすすめです。建物を真上から描いた平面図のことを「伏せ図」、特に屋根の造りと形状を描いたものを「屋根伏せ図」といいます。
また、間取り図から面積を知ることも可能です。屋根の真下にある部屋の面積を確認し、それよりひと回り大きい面積を屋根と想定します。そこに勾配伸び率を掛ければ、おおよその屋根の面積が出るでしょう。勾配伸び率は屋根の角度が分かれば算出できます。不明な場合は施工業者に問い合わせてみましょう。
太陽光発電導入のチェックポイント
太陽光発電の導入にはどのようなメリットがあるのか、導入前に対策を練っておきたいポイントとあわせて紹介します。太陽光発電は何十年という長期間利用するシステムです。事前に確認すべきポイントをおさえて、プランを練りましょう。
導入メリットはたくさんある
太陽光発電を導入することによって得られるメリットはたくさんあります。第一に、節電効果が高く、光熱費の大幅な節約につながることです。売電することで収入を得ることもできます。急な停電の際も電気が使えるという点から、災害対策として導入を検討する方も増えてきています。
屋根に太陽光パネルを設置することで断熱効果も生まれます。外気の影響を受けづらくなることでエアコンの使用量が減り、結果的に節電につながるというメリットもあるでしょう。
対策を練っておきたいポイント
さまざまなメリットのある太陽光発電ですが、考えておかなければならないこともあります。まず導入するには費用がかかります。しかし、電気は毎日使うものです。光熱費の節約や売電収入によって、長い目で見れば回収が可能なことから、「投資」として考えるとよいでしょう。
太陽光モジュールが壊れることは滅多にないと想定されています。以前はメーカーの保証期間は10年でしたが、2023年6月現在、多くのメーカーでは保証期間が25年と延びています。しかし小さな損傷がシステム全体の故障につながるケースもあります。定期的なメンテナンスは受けておいたほうが長く使えるでしょう。
後付けの場合のポイント
ここからは、すでに住んでいる住宅に後付けで太陽光パネルを設置する場合の注意点を紹介します。事前に知っておくことで、失敗を避けられるでしょう。特に屋根の補修は事前に行うことで施工費用が抑えられる上、雨漏りなどのトラブル回避にもつながります。
屋根の補修を事前に行う
後付けで太陽光パネルを設置する場合は、事前に屋根の補修を行いましょう。補修を行う前にパネルを設置してしまうと、その後補修をする際に再度パネルを取り外さなければなりません。その分施工費用もかかります。
また、屋根の状態によってはパネルを設置したことで雨漏りが起こるケースもあるようです。築年数によっては、屋根にかかる負担も大きくなるでしょう。先に屋根の補修を行うことで、その心配もなくなります。パネル設置からリフォームまで請け負う業者なら、まとめて施工ができるのでおすすめです。
このように設置条件、保証期間、メンテナンスサービスなど、導入するにあたって考慮しなければいけない点は沢山あるので、「安い」ことだけに魅力を感じて購入することは避けましょう。
周辺設備の設置場所の確保
太陽光発電の設備は、屋根に載せるパネルだけではありません。太陽光で作った電気を家庭で使える電気に変換する「パワーコンディショナ」も必要です。住宅の状況によっては、屋外型か屋内型かを選ぶ必要があります。
分電盤の形も変わるため、今ある場所から変更を余儀なくされる場合もあるでしょう。それぞれの機器の設置場所について確認しておくことが大切です。
まとめ
太陽光発電はあらゆる形状の屋根に設置が可能です。導入にあたっては、自宅の屋根の面積や素材を確認しておくことも大切です。後付けの場合は、屋根の補修や周辺機器の設置場所についても検討しましょう。
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