蓄電池を家庭に導入する必要性は?導入のメリットや注意点まとめ

太陽光発電の設備を導入している方や、これから導入を予定している方には蓄電池との併用がおすすめです。「電力を蓄えられる」という情報は広く知られているものの、具体的にどのようなメリットがあるのか知らない方もいるのではないでしょうか。

 

そこでこの記事では、家庭用蓄電池を導入することで期待できる効果・メリットについて詳しく解説します。注意点もあわせて理解できると、お得に活用するための方法を知る機会にもつながるでしょう。選び方のポイントもご紹介します。

 

目次

蓄電池とは何かから必要性を考える

蓄電池を導入する上で、設備そのものの役割や必要性を知ることは重要な工程です。太陽光発電から得た電力を蓄えるために有益な選択肢となるため、どのような役割を果たすのか理解しておきましょう。活用できる利用シーンもあわせて解説します。

 

蓄電池の役割とは

蓄電池の役割は、名前のとおり「電力を蓄えること」です。太陽光発電設備では、太陽光を電力に変換する力があります。しかし、リアルタイムで消費したり売電したりするのみで、使わない分を溜めておくことはできません。

 

蓄電池があれば、使う、売る以外にも保存という手段の選択が可能です。本来そのまま流れるはずの電力は、電子の移動方向を調整することによって蓄電されます。利用したいタイミングで切り替え、放電を行うと電力として消費できる仕組みです。

 

蓄電池は必要なものなのか

太陽光による発電のみを目的としているのであれば、蓄電池は必要な設備とはいえません。蓄電池はあくまで電力を蓄えるための設備であり、発電の過程には関係しないためです。つまり「発電した電力を効率的に使いたい」と考える方には、蓄電池は必要な設備といえるでしょう。

 

太陽光発電から得られる電力は住宅で活用可能ですが、夜間は発電できないため電力会社から購入しなければなりません。蓄電池と併用すると、日中に蓄えた余剰電力を夜間に使うこともできます。災害時の対策にも有効です。

 

蓄電池を自宅に置くメリット

家庭用蓄電池では、電力を蓄えることによってさまざまなメリットが得られます。電気代の節約のみならず、太陽光発電の買い取り終了後も便利に活用できる設備です。万が一の事態に備えるきっかけにもなるため、日常生活の安心感を高められるでしょう。自宅に蓄電池を設置するメリットを4つご紹介します。

 

電気代の節約になる

設備の利用中に実感しやすいのは、電気代の節約効果です。太陽光パネルが稼働できない夜間や、エネルギーのパワーが弱い雨天時にも蓄電池から電力を供給できます。電力会社から購入しなくてよいため、夜間の電力消費による負担を減らせるでしょう。

 

ガスを利用しないオール電化住宅の場合、特に効果を得やすいといえます。調理機器や給湯機器の電力も、蓄電池から供給されるためです。蓄電池の容量や性能によって供給量は異なるものの、太陽光発電のみで電力を自家消費するよりは節約効果もアップするでしょう。

 

停電時や災害時でも使える

蓄電池のみを設置した場合、蓄える電力は契約会社から購入する必要があります。地震などの災害で配電が停止すると、新たに電力を蓄えることができません。太陽光発電から得た電力であれば、停電中も蓄電して自家消費が可能です。

 

季節によっては、停電が原因で体調を悪化させるリスクもあります。蓄電池で長期間必要なだけを賄えるわけではありませんが、突然全てが停止する事態を避けるには有効です。緊急時のトラブルに対するリスクヘッジにも役立ちます。

 

ピークシフトで活用できる

気温が上がりやすい夏季の日中や低温化しやすい冬季の夜間には、ほとんどの家庭でクーラーや暖房器具を稼働させるでしょう。電力の消費量が膨大になると、電力会社からの供給が追いつかない事態に陥る可能性があります。このようなリスクを避けるため、電力を消費する時間をずらす方法が「ピークシフト」です。

 

通常はリアルタイムで消費されるため一般家庭で取り組むのは困難ですが、蓄電池を活用すると実践できます。消費が集中する時間を自家消費に切り替えて蓄電池からの供給することが可能なためです。

 

FIT期間が終了した後でも活用できる

太陽光発電のシステムを導入してから10年の間は、固定買取価格制度(FIT)で定められた金額を反映して売電ができます。10年が経過すると対象から外れるため、FITよりも安い価格で売電しなければなりません。電力会社によって変動しますが、買電価格よりも価格が低く設定されていることがほとんどであることから、損に感じる方もいるでしょう。

 

FIT終了後は、売電よりも自家消費のほうが有益に活用できます。電力を売って収入を得るよりも、住宅で利用して電気代を節約したほうが効率もよいためです。

 

10年の期間に縛られることなく電力を経済的に消費できるため、長期的な観点からもメリットがかなり大きいといえます。FIT価格が下降傾向にある点を考えると、蓄電池の必要性は今後も高まるでしょう。

 

蓄電池を自宅に置く際の注意点

これから蓄電池の導入を予定している方は、設置する前に注意点も把握しなければなりません。設置のために費やす金額の大きさや機器の取り扱いなど、詳細まで理解した上で購入を決断しましょう。機器によっては、広い設置スペースが必要になるかもしれません。あらかじめおさえておきたい注意点を3つご紹介します。

 

設置費用がかかる

蓄電池そのものの費用は、気軽に購入できる価格帯ではありません。蓄電池の容量や機能などによって変わるものの、100万円~300万円程度は要すると考えたほうがよいでしょう。ものによっては安価なものもありますがあまりおすすめはしません、長期間使用するので保証面等を考慮した上で機器を選びましょう。

 

具体的な価格は「蓄電池の中にどのくらい電力を蓄えられるか」が大きな要因となります。容量が大きいほど価格も高くなりますが、大きければよいというものでもありません。家庭で消費する電力量や太陽光発電で得られる電力量を計算した上で、過不足なく活用できる機器がおすすめです。

 

充電回数が有限

蓄電池は、充電と放電を繰り返して稼働し続ける仕組みです。充放電回数には目安があり、無限に繰り返すことはできません。蓄電池には寿命があるということを理解しておきましょう。

 

また、充電と放電の回数が増えるほど、一度に蓄えられる電力量も減少します。充電を繰り返すたびに、少しずつ劣化が進むためです。充放電回数を把握することで大まかな寿命も予測できますが、15年~20年が目安となる数字であると理解しておくとよいでしょう。

 

設置場所が必要

蓄電池本体は、容量が大きいほどサイズも大きくなる傾向にあります。近年では小型化されたモデルも販売されていますが、場合によっては設置が困難になるかもしれません。エアコン室外機ほどのスペースは確保できると安心です。

 

「どうしても場所がない」という方は、複数のメーカーに相談して適切な機器を提案してもらいましょう。太陽光発電のパワーコンディショナと一体型になった製品も選択できます。

 

蓄電池が売れている理由とは?

全国的な蓄電池導入数は、表のように2019年度で約5万4,000台を記録しました。一時減少した年はあるものの、2020年5月現在でも多くの注目を集めています。

蓄電池が注目されているのは、節約効果に対する期待だけが理由ではありません。FIT期間を終了する方が増えたことや、災害の発生で意識が変化した点も販売が伸びている要因といえます。技術が発達するにつれ、機能性やサイズなどのラインナップが豊富になったことも影響しているでしょう。

 

蓄電池の必要性が高い家庭は?

蓄電池の利用経験がない場合は、「本当に有効活用できるのか」と疑問に感じるかもしれません。どのくらい効果を得られるかは生活環境にも左右されるため、在宅時間などを考慮した上で判断しましょう。必要性が高い家庭を4つの観点から解説します。

 

オール電化住宅に住んでいる

オール電化住宅では、電気料金の価格設定が夜間では極端に安くなっていることがほとんどです。安い夜間電力を利用して蓄電すれば、大きな節約効果が期待できます。この状態でさらに太陽光発電と併用すると、買電することなく太陽光発電で自家発電した分から蓄電が可能です。

 

発電と蓄電の量が多いほど電気代ゼロの環境にも近づけるでしょう。オール電化と蓄電池のメリットを兼ね備えた方法ともいえます。

 

卒FITしている

FIT価格の対象から外れた11年目以降は、契約先の会社が定める価格で売電しなければなりません。会社によって異なりますが、1kWhあたりの単価は8円~11円が多く見られます。継続的に安価で売電を続けるよりも、自家消費のスタイルに切り替えたほうがメリットも感じやすくなるでしょう。売電収入よりも金銭面の魅力が大きい方法です。

 

自家消費量を増やすためには蓄電池の導入が欠かせません。電力会社からの買電価格は太陽光発電で生まれた電力の売電価格より高いケースがほとんどです。蓄電池導入で売電よりも自家消費を選ぶことは卒FIT後も太陽光発電のメリットを享受するためには不可欠といえるでしょう。

 

昼間外出しがちである

太陽光発電の設備では、日中発電した電力をそのまま活用することで自家消費に充てています。日中住宅で消費しなければ余剰電力も多くなるため、夜間よりも日中の在宅時間が短い方には蓄電池は魅力的なシステムです。

 

「夕方に帰宅してテレビを見ながら食事する」という生活環境であれば、電力を蓄えたほうがお得でしょう。夜間の電力消費量が特に多い場合は、蓄電設備のみでも効果を期待できます。

 

災害時に避難所への避難が困難

要介護者や車いす利用者といった家族と住んでいる場合、災害が発生してもすぐに避難ができません。避難所へ行くことなく、自宅避難を選択するケースもあるでしょう。このような事態でも、自家発電と蓄電の設備が整っていると機能停止のリスクを軽減できます。

 

ただし、医療機器を蓄電した電力を利用して稼働させる場合は、蓄電量の残量に配慮しながら使用するなどの細心の注意が必要です。あくまでも非常時の対策として考えておきましょう。

 

蓄電池の設置にかかる費用は?

家庭用に設置される蓄電池は、5kWh~7kWh前後の規模が多く見られます。住宅が大規模でなければ、10kWh未満の設備が導入できると考えてよいでしょう。

 

一般的には機器代金・設置費用を含めて100万円~300万円が目安です。蓄電池のタイプによっても、導入費用が変わってきます。

 

・全負荷型:住宅内の全部屋で電気を利用できる

・特定負荷型:あらかじめ指定した特定の場所でのみ利用できる

 

限定的なエリアで利用する特定負荷型は、全負荷型に比べて導入費用も抑えやすいといえます。どちらが適しているか見極め、生活環境に合った設備を選択しましょう。

 

蓄電池の選び方のポイント

実際に機器を選ぶ際には、容量・サイズなど複数の要素を考慮しなければなりません。購入後に後悔する結果を招かないよう、導入前の段階でポイントをおさえておきましょう。なるべく長期的なプランを立てることが大切です。選択の際に基準にしたいポイントを4つご紹介します。

 

蓄電容量で選ぶ

「どのくらいの容量が適しているか」は、設置する住宅の環境によってさまざまです。住んでいる人数や電気の使い方でも異なるため、以下の3つを基準材料に活用しましょう。

 

・自家発電量(太陽光発電設備がある場合)に適しているか

・普段の電力消費量はどのくらいか

・災害時にどのくらい供給してほしいか

 

太陽光発電と併用するのであれば、発電量に見合った容量を算出する必要があります。緊急時も満足に使えるかなど使用量の観点も重視しましょう。

 

タイプで選ぶ

太陽光発電と蓄電池を併用する予定の方は、発電システムと連携できる機器を導入します。パワーコンディショナを一体型にする場合は、すでに設置しているパワーコンディショナと取り替えなければなりません。

 

蓄電池単体で活用するのであれば、電力会社からの買電で蓄電する単機能型(スタンドアローン)を選びます。発電設備の導入を考えていない方や、太陽光パネルを設置できない場合に適した方法です。電力を蓄える仕組みが異なるため、不安な場合は販売店に相談してもよいでしょう。

 

サイクル寿命で選ぶ

蓄電池を寿命まで活用し続けるためには、充放電回数や効率の低減率も重要なポイントです。「稼働し続けると蓄電量が減少傾向にある」という特性を理解したうえで、交換時期まで満足に使える機器を選びましょう。

 

例えば、20年後に容量が60%まで落ちる機器と80%まで落ちる機器がある場合、後者のほうが総合的な蓄電量は多くなります。本体価格だけで購入してしまうとコストパフォーマンスが落ちて、結果的に中長期的に損をしてしまう事例もありますので、容量も考慮し、なるべく性能を維持しやすい機器に注目するのがおすすめです。

 

特定負荷型か全負荷型かを選ぶ

機器の性能や寿命の見極めも大切ですが、供給するエリアを明確にする作業も重要です。以下の表をチェックして、メリットを活かせるほうを選びましょう。

 

まとめ

蓄電池は、日々の電気代節約や緊急時の備えなど、複数のメリットが実感できる設備です。太陽光発電との併用だけでなく、単体でもお得感を得られるため導入を検討してみましょう。機器を選ぶ際には、十分なスペースを確保した上で環境に合ったものを選ぶ意識が大切です。

 

リベラルソリューションでは、沖縄を除く全国展開や14年の実績から培ったデータを元に、メリットとデメリットを共有した上で希望に沿った必要性のある設備・プランをご提案します。導入を検討している方や、疑問が残っている方はぜひこの機会にご相談ください。

 

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