電気は電力会社から買う時代から、自家消費する時代に変化しつつあります。蓄電池の増設を本気で考えているものの、蓄電池の種類や増設方法が分からず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、太陽光発電に増設可能な蓄電池の種類やメリットについて解説します。増設できる蓄電池が分かれば、家庭に合った設備が選べるでしょう。併せて、増設時に知っていると安心できる注意点も紹介します。
太陽光発電に蓄電池を増設する理由
蓄電池を増設する理由は家庭によってさまざまです。月々の電気代やすでに設置している蓄電池に満足できない方もいるでしょう。ここでは、蓄電池を導入していない場合と導入している場合の2パターンに分けて、蓄電池を増設する理由について解説します。
蓄電池を導入していない場合
太陽光発電の電気を電力会社に売って利益を得られる時代は、徐々に終わりつつあります。FIT期間中は売電価格が高く設定されており、余剰電力を売って収入を得ることが可能です。しかし、FIT期間が終了すると売電価格が下がるため、これまで通りの方法で同じ額の収入は得られません。
FIT期間が終了した方は、売電収入を得るよりも自家消費しましょう。電力会社に余剰電力を売って得る収入よりも、電気を蓄電池に蓄えて自家消費することで節約できる電気代のほうが大きいためです。この環境を作るには、蓄電池を設置する必要があります。設置費用はかかりますが、月々の電気代は抑えられるでしょう。
蓄電池を導入している場合
太陽光発電と蓄電池を併設しても、設置している蓄電池の容量がニーズを満たしていないこともあるでしょう。例えば、FIT期間が終了して売電から自家消費にシフトする家庭では、発電した電力を全て蓄えられる大容量の蓄電池があると便利です。
防災意識が高まる中、停電の際に非常用電源として役立つように、できるだけ多くの電力を蓄えたいと考える方も増えています。蓄電池の容量が導入時のニーズと合っていないと感じる場合、増設を検討したほうがよいでしょう。
太陽光発電に蓄電池を増設する2つの方法
蓄電池には単機能型蓄電池とハイブリッド型蓄電池の2種類があります。増設する蓄電池は、電気を変換する役割を持つ太陽光発電のパワーコンディショナの状態によって決めるとよいでしょう。ここでは、それぞれの蓄電池の特徴と増設方法について解説します。
単機能型蓄電池を増設する
太陽光発電のパワーコンディショナが長く使えそうな場合、単機能型蓄電池を増設します。単機能型蓄電池とは、太陽光発電システムとは別に単独で機能する蓄電池です。
パワーコンディショナも独立しているため、すでに設置している太陽光発電のパワーコンディショナを撤去する必要はありません。新たに蓄電池用のパワーコンディショナと蓄電池を設置します。太陽光発電を導入したばかりで、保証期間が長く残っている家庭におすすめです。
ハイブリッド型蓄電池を増設する
太陽光発電のパワーコンディショナの保証期間が終わっていたり、あと少しで故障しそうな状態だったりする場合、ハイブリッド型蓄電池を増設することをおすすめします。
太陽光発電と蓄電池に対して1台で済むハイブリッド型パワーコンディショナに接続するのがハイブリッド型蓄電池です。現在使用している太陽光発電のパワーコンディショナを外し、新たに太陽光発電と蓄電池両用のパワーコンディショナと蓄電池を設置します。
単機能型蓄電池を増設するメリット
単機能型蓄電池とは、太陽光発電システムに影響されず単独で機能する蓄電池です。パワーコンディショナは太陽光発電とは別のものを使用します。増設するにあたり、メリットが気になる方もいるでしょう。ここでは、単機能型蓄電池を増設するメリットを3つ紹介します。
メリット1.コストが抑えられる
単機能型蓄電池は、コストを抑えたい方におすすめです。蓄電池増設後も太陽光発電のパワーコンディショナはそのまま使用するため、撤去費用はかかりません。
また、本体価格もハイブリッド型蓄電池より安い傾向があり、コストを無理なく抑えられます。ただし、メーカーや製品によって価格は異なるため、増設する蓄電池を選ぶ際には十分確認しましょう。
メリット2.太陽光発電の保証に影響しない
ハイブリッド型蓄電池の場合、太陽光発電と蓄電池の両方をつなげるパワーコンディショナを新たに設置するため、元々使用していた太陽光発電のパワーコンディショナを取り外さなくてはなりません。太陽光発電システムの一部を変更したことにより、保証の対象外になる場合があります。
一方、単機能型蓄電池はパワーコンディショナを撤去しないため、太陽光発電の保証に影響する心配はありません。
メリット3.メーカーに依存しない
単機能型蓄電池の場合、太陽光発電とメーカーを統一する必要はありません。太陽光発電と単機能型蓄電池はシステムが異なるため、別のメーカーの製品を選んでも問題なく利用できます。
メーカーに依存せず、容量や機能を重視してニーズに合った蓄電池を選べるのがメリットです。多くの選択肢の中から蓄電池を選びたい方やメーカーに強いこだわりがない方は、単機能型蓄電池を選ぶとよいでしょう。
ハイブリッド型蓄電池を増設するメリット
ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電と蓄電池に対して1台で済むハイブリッド型パワーコンディショナに接続する蓄電池です。単機能型蓄電池とは異なるメリットがあるため、選ぶ際の参考にするとよいでしょう。ここでは、ハイブリッド型蓄電池を増設するメリットを紹介します。
メリット1.変換ロスが少ない
太陽光発電で作った電気は家庭で使用したり電力会社に売電したりするために、パワーコンディショナで直流から交流に変換します。変換するときに発生する電気のロスは5%程度です。単機能型蓄電池は太陽光発電と蓄電池のそれぞれで計2台のパワーコンディショナを使用しますが、ハイブリッド型蓄電池は1台で済みます。
したがって、ハイブリッド型蓄電池のほうが変換ロスは少なく、より多くの電気を蓄電池に蓄えられるのがメリットです。
メリット2.保証期間が更新できる
ハイブリッド型蓄電池を増設するということは、太陽光発電のパワーコンディショナも新しくなるということです。
今まで使用していたパワーコンディショナの保証期間が過ぎていた場合、何か不具合があれば自己負担で修理しなければなりませんでした。しかし、ハイブリッド型蓄電池を設置すれば、保証期間が更新されます。蓄電池の保証期間はメーカーや製品にもよりますが、10年~15年が一般的です。
メリット3.室内型も多い
ハイブリッド型蓄電池は室内型も多く、水害に強いのがメリットです。蓄電池は一度水に浸かると使えません。水害が発生したときの安全性を考えると、屋外型よりも室内型のほうが安心です。また、床下浸水による被害が心配な方は、2階に蓄電池を設置することで対処できます。ただし、重量があるため、床の耐荷重を忘れずにチェックしましょう。
蓄電池の増設には手続きが必要!増設時の注意点
蓄電池を増設するときは、さまざまな手続きが必要です。手続きをしないとリスクが生じる恐れがあるため注意しましょう。また、FIT期間中の場合、売電価格が変更になるケースがあります。ここでは、蓄電池を増設する際の手続きや注意点について見てみましょう。
FITの変更認定申請をしよう
蓄電池を増設すると、FIT認定時に提出した書類に変更が生じます。当時の情報を変更するには、変更認定申請が必要です。申請の際は必要書類として配線図を用意しましょう。申請方法は以下の通りです。
1.専用サイトにログインする
2.「自家発電設備等の設置の有無」で「有」を選択する
3.種類は「蓄電池」を選択する
4.設置位置・区分計量の可否を入力する
自身で手続きするのが不安な方は、蓄電池や太陽光発電の販売業者や設置業者へ相談するとよいでしょう。中には、手続きの代行サービスを提供している業者もあります。
手続きをしないとどうなる?
面倒だからと手続きをしなかったり、忙しさで忘れていたりすると、さまざまなリスクが発生します。FIT法において変更の申請は義務です。いかなる理由があっても手続きしなければなりません。
手続きをしないと、罰則を受ける恐れがあります。FIT取消の対象となったり、FIT法に基づく指導・助言や改善命令を受けたりするリスクがあるため、できるだけ早く手続きを済ませましょう。
FIT期間中に蓄電池を増設する際の注意点
FIT期間中に蓄電池を増設する場合、売電価格が変更になる場合があります。売電価格が変わる条件を以下にまとめました。全ての条件に該当する場合、変更認定申請時の売電価格に変更されます。
・過積載の場合(パワーコンディショナの出力よりも、太陽電池の合計出力が大きい)
・パワーコンディショナより太陽電池側に蓄電池を設置する場合(電力会社の送配電網側ではない)
ただし、条件に当てはまらなければ、蓄電池を増設しても売電価格は変わりません。売電価格を変えたくない方は販売業者や設置業者に相談しましょう。
まとめ
蓄電池を増設するときは、太陽光発電のパワーコンディショナの状態を確認しましょう。その上で蓄電池の種類や特徴を比較し、それぞれの家庭に合ったものを選びます。また、FIT取消のようなリスクを回避するため、変更認定申請は早めに済ませたほうがよいでしょう。
蓄電池の増設では信頼できる業者選びが重要です。リベラルソリューションは14年の実績があり、保証サービスも充実しています。自家消費や非常用電源の確保など、あらゆる目的で蓄電池の増設を考えている方は、一度ご相談ください。オンラインでの面談やサポートも可能です。