家庭用蓄電池とは何か?基本から専門知識までを分かりやすく解説|蓄電池を選ぶポイントや相場・補助金について

蓄電池は、電気を蓄えることで停電中でも電気を供給してくれる便利な設備です。設置台数は年々増加しており、注目も集まっているため「蓄電池について詳しく知りたい」という方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、家庭用の蓄電池に関する情報を幅広く解説します。蓄電設備は住環境によって相性が異なるため、特徴を理解することで導入したい設備を明確化できるでしょう。後半では導入前に注目したい補助金事業の情報もご紹介します。

 

目次

家庭用蓄電池とは

一定量の電気を充電して貯めておける装置が蓄電池です。近年、家庭用蓄電池の導入数は増加傾向にあります。太陽光モジュールを設置している方は、蓄電池の導入を考えたこともあるかもしれません。蓄電方法は以下の2パターンです。

 

・電力会社に料金を支払って蓄電

・太陽光発電で得た電気を蓄電

 

充電できる電気の量は製品により異なりますが、自然災害ほかの理由で停電などの非常事態が発生した場合に、電力会社から電気が供給されないときの備えとして役立ちます。

停電時はエアコンなどの空調設備にも影響が出るため、夏や冬なら体調を崩す可能性があります。家庭用蓄電池を設置していれば、このような緊急事態においても蓄電してあった電気を使えるため、リスクを大幅に軽減できるでしょう。

家庭用蓄電池の普及状況

家庭用蓄電池の設置台数は導入開始から現在まで年々増加しています。中でも新築住宅・卒FIT住宅の導入ポテンシャルは今後も増加していくと予測されています。

以下はJEMA(日本電気工業会)が発表している、2022年3月時点での調査結果の資料です。

 

(参考: 『JEMA 蓄電システムビジョンVer.7』:https://www.jema-net.or.jp/jema/data/S7216(20220427).pdf

太陽光発電の最新事情と蓄電池の関係

2009年11月から、発電した余剰電力を固定価格で買い取る制度が実施されました。固定価格で買い取ってもらえる期間は売電を始めてから10年間と定められているため、終了時期は利用者によって異なります。

固定価格での買い取りが終了した際に、従来通り売電できるのかという問題が発生しました。これが太陽光発電業界における「2019年問題」として不安視されていたのです。

2019年に固定価格での買取が一律終了したわけではないため、固定期間が終わっても売電することはできます。しかし、売電プランを切り替えたり、売電先の電力会社を変えないと利益が大きく目減りしてしまう可能性が高く、「余剰電力がもったいない」と感じることもあるでしょう。

電気料金の値上がりが続く昨今では、余剰電力を電力会社に売電するのではなく、自宅で蓄電池を使って自家消費する方が、電気代を削減でき結果的に得をするケースも増えています。家庭用蓄電池の普及が大きく進んだのは、2019年問題もひとつの要因といえるでしょう。

家庭用蓄電設備の種類とそれぞれの特徴

家庭用蓄電池には複数の種類があります。ひとつひとつ特性や機能が異なるため、自分の環境に適したものを選ばなければなりません。電気を変換するシステムもさまざまです。代表的な2つの種類を理解して適切な設備を整えましょう。どのような家庭に向いているかも含めて解説します。

単機能型蓄電設備

蓄電池単体でも稼働するシステムが単機能型蓄電設備で、蓄電池のなかでもポピュラーな種類といえるでしょう。パワーコンディショナと組み合わせて機能する仕組みになっています。

太陽光モジュールで発電した電気を蓄電する場合は、太陽光発電用のパワーコンディショナで変換し、蓄電池用のパワーコンディショナで再度変換します。そのため、太陽光発電用と蓄電池用の2つのパワーコンディショナを設置しなければなりません。2台分のスペースが必要になるため、敷地面積が広い家庭に向いた設備といえます。

ハイブリッド型蓄電設備

太陽光発電用と蓄電池用のパワーコンディショナを一体化しており、1台設置するだけで太陽光発電の電気を蓄電池に貯められるシステムです。単機能型ほどのスペースが必要ないため、スペースに余裕がない家庭でも導入を検討しやすいでしょう。変換によるロスが減らせるので、蓄電の効率アップも期待できます。

すでに太陽光発電設備を設置している方は機器を取り替える必要があるため、設備の交換時期が迫っている場合やこれから導入する家庭に適しているともいえるでしょう。

電力を蓄電する2通りの方法

蓄電池に電気を貯めるには2つの方法があり、太陽光発電設備を利用するかどうかでも選択が異なります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分に合った方法を検討しましょう。

電力会社と契約して蓄電する場合は、契約先から電気を購入する形になります。会社やプランによって料金はさまざまですが、天候に左右されず蓄電可能な点が明確なメリットです。そのぶん、災害などで停電が長く続いた時は再蓄電ができないというデメリットがあります。一方、太陽光発電では太陽さえ出ていれば、災害時でも発電・蓄電が可能です。デメリットは日照時間が減ると発電量も減少する点で、残量が減った任意のタイミングで蓄電しておくような使い方には向いていません。

蓄電池を選ぶときに注意すること

蓄電池には複数の種類があり、仕組みが同じであれば同じ効果が出るというものではありません。自分の住環境と相性がよいか見極めたうえで選択することが大切です。設置後の保証内容もしっかり確認しておきましょう。ここでは、蓄電池を選ぶ際に注意したい4つのポイントを紹介します。

太陽光発電システムとの連動性

太陽光発電設備と蓄電設備を併用する場合は、2つを連動させて使えるものを選ばなければなりません。両方を利用したときにきちんと動くのか、どのような効果が出るのか、なるべく詳細なシミュレーションを出して効果の大きいものを選べると安心です。

蓄電池の容量より太陽光発電設備の発電量が多い場合、発電した電力の一部が無駄になる可能性もあります。容量が大きいほど製品のコストもかかるため、費用対効果を予測してバランスのよい設備を整えましょう。

寿命はどのくらいか

蓄電池を選ぶうえで確認したい項目のひとつが「充放電回数」です。充放電回数とは充電と放電のサイクルの回数で、蓄電池の寿命に影響します。充放電回数が少ないものほど寿命が短く、製品の価格も安くなりやすいと考えましょう。

価格を取るか、性能を取るかは重要な判断基準となります。その家に長く住み、積極的に蓄電池を使っていく予定なのか、転居や売却も考えてコストを抑えるのかといった観点から選びましょう。

容量と出力が生活環境にあっているか

家の大きさやライフスタイルによって、蓄電池に必要な容量や出力は異なります。停電になったときを想定し、家電や照明などに必要な電気量をシミュレーションしてみましょう。

また、同じ広さの家でも、夫婦2人暮らしと二世帯住宅では、当然ながら電力消費量も異なります。そのような場合では家の大きさだけでなく、世帯の人数に合わせた蓄電池を選ぶようにしましょう。

もし、非常時でも日常生活に近い電気の使い方をしたいのであれば、電気料金の明細に記載されている使用量を参考にするのがおすすめです。必要な家電・照明機器などの出力を確認して、それを数日以上はまかなえる容量を計算してみましょう。

保証の範囲

蓄電池の設備があっても、故障したことに気づけず放置しては意味がありません。問題なく使い続けるためにも、メーカーや設置業者の点検・保証内容を確認しましょう。詳細は提供する会社によってさまざまで、保証期間が15年以上の長期にわたるものもあります。

故障時の保証だけでなく、定期的なメンテナンスも重要な判断基準といえます。普段利用しているだけでは気づきにくい不備を、専門業者による点検で早期に見つけられれば、故障の修理に必要な金銭的負担を軽減できるでしょう。

家庭用蓄電池の導入費用

蓄電池を導入する際の初期費用は大きく分けて以下の3つです。

 

・本体価格:蓄電池本体の購入費用

・設置費用:基礎工事や組み立てに必要な費用

・工賃:配線など電気系統の工事に必要な費用

 

これらを合計した導入費用は設置する機器や業者によって変動することもありますが、おおむね100~300万円程度が相場だともいわれています。しかし、ここで気を付けておきたいのは、費用が安いからと見切り発車してしまい、失敗するケースも少なくないという事です。

たとえば、蓄電池本体が安くても、アフターサービスが充実していない場合もあるので、自分にあった蓄電池を購入するためには、家庭に合わせることと、信頼できる業者と商品選びが大切になります。長年使う設備でもあるため、初期費用だけでなく、パフォーマンスを維持できる機器・業者を選びましょう。

家庭用蓄電池の導入時に利用できる補助金について

蓄電池の導入には多くの補助金が準備されています。2019年は、環境共創イニシアチブの「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」をはじめ、東京都の「家庭に対する蓄電池等補助事業」など、全国の各自治体が独自に定めた補助金も実施されました。その期間や条件、内容はさまざまです。 

すでに終了しているものもありますが、現在も継続している補助金もあります。蓄電池を導入する際は、自治体に問い合わせてみてもよいでしょう。

例えば2023年には国のDR(DER)補助金が設けられ、蓄電池1kWhあたり3.2万円の補助金が利用できますが、予算総額では20億円と少額です。それでも2022年度の3倍ほどが確保されているため、蓄電池導入の促進は国の課題となっていることがうかがえます。

自治体の補助金と併用することでさらに導入コストを下げることもできますが、国よりもさらに予算が少ない傾向にあることから、早めに見積もり・申請しておく必要があるでしょう。

まとめ

蓄電池は、電力会社が供給する電気が利用できなくなったときに活躍してくれる便利な設備です。停電時に明かりを確保できるため、不安な状況でも安心感を与えてくれるでしょう。現在では導入数も増加しています。しかし、さまざまな種類があるため、導入する際は住環境に適した製品を選択しなければなりません。

蓄電設備の種類や注意点を理解し、太陽光発電の有無も加味したうえで導入するとなれば、どうしても疑問や悩みも浮上してくるものです。そのような場合は、16年の実績を持ち、業界最大手のリベラルソリューションにぜひご相談ください。教育を受けたプロの担当者が、各家庭にベストな蓄電池をご提案します。

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