蓄電池は災害などで停電したときの非常用電源になること、うまく使うと電気料金を減らせるなどの特長があります。経済効果に期待して蓄電池の導入を検討している方にとって気になるのは、蓄電池を購入して元を取れるのかということではないでしょうか。蓄電池の経済効果が購入費用を上回るのか知りたい方も多いかもしれません。
そこでこの記事では、蓄電池で元を取ることはできるのかについて紹介します。蓄電池のメリットが生まれる仕組みや、業者の選び方が分かるようになる内容です。
蓄電池で元を取ることはできるのか?
蓄電池の導入には初期費用が必要です。蓄電池を導入して元を取れるのか疑問に思っている方もいるでしょう。蓄電池のメリットを正しく把握するために、まずは蓄電池の役割と得をする仕組みを解説します。
蓄電池の役割
蓄電池は、電気を蓄えるバッテリーを搭載した設備です。蓄えた電気を使用することで、任意のタイミングで電気製品を働かせることができます。停電対策になること、使い方によっては電気代を削減できる注目の機器です。
小型の蓄電池はスマートフォンなど身近な製品にも使われています。家庭用蓄電池は電気を蓄えられる容量が大きく、複数の電化製品を同時に動かせる大きな設備です。
蓄電池で得をする仕組み
複数の電力事業者が時間帯ごとに電気料金が異なるサービスプランを提供しています。蓄電池を活用するときは、電気の需要が少なくなる夜間使用料金が安い設定のプランに変更しましょう。
料金が安い夜間に電気をためておき、料金が高くなる昼間に蓄電池にためておいた電気を使うと料金の差分を節約できます。夜間の料金が安くなるプランの有無、設定料金は電力会社によって異なるので、昼と夜の差額を確認することが大切です。
蓄電池の発電効率は設置場所で変わる
蓄電池その機種に適した環境で使用する事によって、最大効率でエネルギーを生成でき、稼働年数も伸ばす事ができます。蓄電池を設置条件にマッチしないスペースに無理矢理置いておくと、故障や性能低下の原因となってしまうため十分に注意しましょう。
また、設置条件はそれぞれの機種によって異なります。購入前には設置条件についてもしっかり確認しておく事が大切です。安全に蓄電池を使用することはもちろんのこと、エネルギー効率を最大化させるためにも設置に適した環境を整えましょう。
蓄電池を導入するメリット・デメリット
蓄電池には電力を有効活用できるメリットがありますが、デメリットもあります。蓄電池を導入するためには、メリットとデメリットをしっかり把握して、蓄電池への理解を深めましょう。そのうえで、我が家の生活スタイルに合うかを検証することが大切です。
メリット
蓄電池を導入すると、電気エネルギーを効率良く使えます。電気料金は今後も高くなるという見方が一般的です。買電する時間帯をずらすことで電気料金を抑えられるのは大きな経済的メリットといえるでしょう。
また、夜間に電気をためて、日中ためた電気を使うことはピークシフトに役立ちます。環境への負担が大きい火力発電の稼働を減らすことにつながるため、環境問題に貢献できることもメリットです。
蓄電した電気は停電時にも使用できるので、非常時に役立ちます。災害時は停電も発生し、場合によっては数日間電力が復旧しないケースも考えられるでしょう。このようなときも、蓄電池があれば生活への影響を少なくできます。
デメリット
デメリットとしては、まとまった初期費用を用意しなければならないことが挙げられます。機器の容量や機能などによりますが、蓄電池の購入費用は100万円~300万円程度かかるのが一般的です。
また、蓄電池を導入するには、一定の設置スペースを確保する必要があります。蓄電池は15年~20年の長期運用が前提のため、故障のリスクも考慮しなければなりません。
元を取ることは可能?蓄電池導入後のシミュレーション
どのくらいの期間で蓄電池の元が取れるのかは、蓄電池の価格、蓄電池導入前の電気代と導入後の電気代の差額で決まります。
2人以上世帯の1か月間電気使用量平均は総務省のデータによると約409kWhです。このデータにはアパートやマンションの世帯も含まれています。戸建てで同居家族の多い家庭ではさらに使用量も増えることでしょう。そこで電気使用量が600kWh/月と800kWh/月の2ケースでシミュレーションしてみました。
蓄電池の購入費用を100万円とし、単純に割り出すために蓄電池導入後は使用する電気を全て夜間料金で賄うと仮定して計算します。蓄電池導入前後に大手電力会社の標準的な料金プランと夜間お得なプランを当てはめると、以下の結果です。
・電気使用量が600kWhの場合
導入前1万6,323円、導入後1万2,696円、差額3,627円
・電気使用量が800kWhの場合
導入前2万2,437円、導入後1万6,928円、差額5,509円
1カ月当たりの節約料金は600kWhの場合、3,627円、1年で約4万3,524円回収できます。蓄電池の価格100万円を1年当たりの節約料金で割ると、約23年で元を取れる計算です。800kWhの場合は、1年で6万6,108円、約15年で元を取れます。
ただし、これは電気代の節約料金だけを考慮した場合のケースです。実際には自治体からの補助金が出る場合は初期費用を軽減できるので、もっと早く元を取れるでしょう。また、蓄電池の容量や機能によって購入費用も変わることにも注意が必要です。
太陽光発電との併用で経済効果アップ
蓄電池は太陽光発電と相性が良く、太陽光を得られる時間帯に充電し、太陽光発電できなくなる夜間に充電した電気を使うことで電気料金を減らすことができます。
太陽光発電の売電価格が固定されるFIT期間満了以降、余剰電力を蓄電池にためて有効活用できることも大きなメリットです。卒FITを迎えた家庭は売電価格が下がるので、余剰電力を蓄電池にためて自家消費したほうがお得になるケースもあります。
失敗しない!蓄電池選びのポイント
蓄電池は各メーカーから多くの機種が販売されているため、どれを選べばよいのか迷う方も多いかもしれません。生活スタイルや家族構成によって最適な蓄電池は変わります。機種選びで失敗しないように、蓄電池選びのポイントを確認しましょう。
容量で選ぶ
蓄電池を選ぶ際は、目的に合った容量の機種を選ぶことが大切です。蓄電池は機種ごとに電気をためられる容量が決まっています。容量が大きい機種は価格も高いので、必要な容量の機種を購入し、無駄な出費がないようにしましょう。そのためには自宅の電力使用状況を確認し、1日にどの程度の電力を使っているかを確認するのがおすすめです。
設置面積で選ぶ
一定のサイズがある蓄電池は、設置面積で選ぶことも大切です。設置環境が屋内か屋外かは機種によって異なりますが、いずれの場合でも設置場所を確保する必要があります。特に屋外設置の場合は近隣住宅との距離が狭く、十分なスペースがとれないことも多いのではないでしょうか。蓄電池選びの際は、設置予定の面積に設置できるサイズかどうかも確認するようにしましょう。
耐久性で選ぶ
蓄電池は10年から長いもので20年以上と長く利用するため、耐久性も選ぶ際に注目したいポイントです。蓄電池の耐久性は年数ではなくサイクル数で表されます。サイクル数における1サイクルとは、蓄電池が充電100%の状態から0%までに完全に放電、そしてまた100%まで充電するというサイクルのことを指します。つまり、何回繰り返し充放電できるかをサイクル数として耐久性を表しているのです。サイクル数は機種ごとに異なるので、選ぶ際の目安にするといいでしょう。
保証で選ぶ
10年以上長期運用する蓄電池は、保証内容が大切なポイントです。メーカーごと、設置業者ごとに保証期間や内容は異なります。しっかり確認してより良いものを選びましょう。
蓄電池は屋外設置が一般的です。自然災害補償がついていないと台風や大雪などの自然災害で故障しても補償対象になりません。設置環境に応じて保証を選ばなければ、故障したときの修理費用が自己負担になることがあります。
蓄電池導入は信頼できる業者に依頼しよう
蓄電池を購入する際は、業者選びも大切なポイントです。蓄電池は購入してから何年も使い続けるので、長期サポートを実施する業者に依頼できれば安心感が違います。業者を選ぶ際は、ここで解説する3つのポイントに注目しましょう。
実績があるか
蓄電池を販売している業者は多数ありますが、中には工事品質が良くないことでトラブルが起こることもあります。実績の多い業者を選ぶのが失敗しないコツです。
信頼できる業者か確かめるには、販売だけでなく施工まで自社で行っているか、しっかり蓄電池の説明をしてくれるかなどをチェックしましょう。業者の多くはWebサイトで実績を公表しています。詳しく知りたい場合は、直接問い合わせてみましょう。その際の応対でも信頼できる業者かを推し量れます。
サポートやフォローが万全か
導入後のサポートが充実しているかも選ぶ際には大切です。設置だけではなく、定期的なメンテナンスや不具合が起こったときに迅速に対応をしてくれる業者を選びましょう。蓄電池を導入する際は、信頼して長く付き合えるパートナーを選ぶことが重要なポイントです。
細かいシミュレーションや説明があるか
初めて蓄電池を導入するときは、分からないことも多いかもしれません。細かいシミュレーションをして説明してくれる業者なら信頼できます。
また、適切な蓄電池はそれぞれの環境ごとに異なるため、専門知識がなければ適した機種を選べません。設置場所をしっかり調査して正確なシミュレーションを行い、最適な機種を提供してくれる業者を選びましょう。
まとめ
蓄電池の導入にはまとまった額の初期費用がかかりますが、条件次第で元を取ることは可能です。太陽光発電と併用することで経済効果をより向上できます。蓄電池には電気料金の節約効果だけでなく停電時の備えとしての役割もあるので、災害や停電のときに慌てることがないように早期の導入をおすすめします。
リベラルソリューションは、お客様ひとりひとりに寄り添ったサービスをご提供しているのが強みです。蓄電池についてのご質問やご相談はお気軽にお問合せください。徹底した教育を積んだスタッフが豊富な実績をもとに最適なスマートライフのご提案をしています。