蓄電池のメリットを生かすには、正しい使い方を理解する必要があります。設置した後にもモードを選んだり発電方法を切り替えたりしますが、具体的な仕組みを知らない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、蓄電池の使い方を徹底的に解説します。複数の場面を想定した主な5つのモードについて理解を深めれば、適切な使い方ができるでしょう。後半では、停電時の使用方法や蓄電池の選び方を紹介します。
蓄電池の基本的な使い方
一般的に蓄電池を使用する際には特定のモードを設定した上で稼働させるケースがほとんどです。一度設定すると、操作をしなければ別のモードには切り替わりません。ただし、停電が発生したときは停電時用のモードへ自動で切り替わる場合があります。使用方法に合わせて設定するとよいでしょう。
また、環境保護や電気代の節約といった目的で日常的に蓄電池を利用している家庭の多くは、太陽光発電を併用しています。太陽光発電を有効に使うためにもモードの切り替えは重要です。
蓄電池の5つの主なモード
蓄電池には主に5つのモードがあります。余剰電力を売るときと自給自足をするときではモードが異なるため、それぞれのモードの役割を把握して上手に利用しましょう。ここでは、蓄電池の5つのモードについて詳しく解説します。
固定価格買取期間中に使用する「経済優先モード」
電気料金が安い夜間電力を利用することで、電気代がよりお得になるように充電と放電を制御するのが「経済優先モード」です。買電単価が安い夜間に蓄えた電気を昼に放電し、電気料金が高い昼間の電力を賄います。
太陽光発電と併用する場合、発電した電力を消費しますが、消費しきれない電力(余剰電力)は売電できるのがポイントです。売電していない時間帯は蓄電池に蓄えた電力を消費するため、FIT制度の適用期間中にメリットを得やすい方法といえるでしょう。
自給自足で電気を使用する「環境優先モード」
消費する電力の自給自足を目的とするのが「環境優先モード」です。電力会社からはなるべく電気を買わず、以下の方法で自給自足を目指します。
・昼間は太陽光発電で生じた電力を消費する
・余剰電力は売電せずに蓄電する
・夜間は蓄電池に蓄えた電力を優先的に消費する
悪天候で発電できない日が続いたり蓄電量が極端に減ったりしたときだけ、電気を購入します。環境への配慮だけでなく、電気代の節約効果も期待できるでしょう。
停電時に備える「蓄電優先モード」
台風や地震で停電が発生したとき、蓄電池に残量がなければ電気の供給ができません。このような事態を避けるため、日常的に電気を蓄えることを優先するのが「蓄電優先モード」です。基準となる蓄電量を設定し、基準を下回るときは買電で賄います。
蓄える電力量は、太陽光発電の発電量や電気の利用状況を考慮した上で設定するとよいでしょう。特に、台風が発生しやすい季節は必要性が高いモードといえます。
ピーク電力を抑える「ピークカットモード」
「ピークカットモード」では、ピーク電力を抑えることでコストの削減が期待できます。電力消費量がピークとなる朝や夕方に蓄電池から放電して購入する電力を減らすことで、基本料金を下げることが可能です。
蓄電池からの供給と買電のタイミングを調整することで、電気代の削減を目指します。ただし、モードの有無は蓄電池によって異なる点に注意が必要です。
停電時に電気を使用する「自立運転モード」
停電が発生したときには、「自立運転モード」に切り替えることで蓄電理に蓄えた電気を使えます。そのままだと電気は使用できません。モードの切り替えは手動の場合もあるため、事前に取扱説明書をチェックしておきましょう。
可能であれば、自動切り替えに設定すると安心です。自立運転モードにすると、蓄電池に電気がある限りは停電が解消するまで稼働し続けます。
太陽光発電併用のときの蓄電池の使い方
蓄電池のメリットを生かすには、太陽光発電との併用がおすすめです。ダブル発電による押し上げ効果も期待できるため、経済的メリットも得られるでしょう。ここでは、ダブル発電の概要に触れながら、太陽光発電との併用における効果や蓄電池の選び方について解説します。
太陽光発電と蓄電池のダブル発電とは
太陽光発電と蓄電池を併用する際には、「ダブル発電」と「シングル発電」という2つの発電方式があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
・シングル発電:売電中は蓄電池を停止して、太陽光発電の電気で消費電力を賄う
・ダブル発電:売電中も蓄電池から放電して消費電力を賄う
ダブル発電では売電中も放電して消費電力を賄えるため、その分、売電量が増えて金銭的なメリットが得られます。2018年度以前は利益が大きくならないようFIT制度により売電単価が調整されていました。
かつては「ダブル発電は損だ」といわれていましたが、2019年度以降の売電単価は同額です。2023年9月現在では、ダブル発電の効果を享受できる環境が整っているといえるでしょう。
これから同時導入ならダブル発電対応蓄電池を選ぶ
今後、太陽光発電と蓄電池を同時に導入する予定の方は、ダブル発電に対応した蓄電池を選びましょう。2018年度以前は制御する機能が付いた機器が主流でしたが、現在はダブル発電に対応できることが重要です。
ダブル発電の効果を高めるモードは機器によって異なります。ここでは、ニチコンの押し上げ有りモデルの「深夜電力活用モード」について見てみましょう。
・電気料金が安い深夜料金または夜間料金で充電
・昼間、買電単価が上がるタイミングで放電
・太陽光発電で生じた電力は売電
以上の流れにより売電量が増えて、経済的メリットが大きくなります。
停電時の蓄電池の使い方は?
電力会社からの電気の供給が止まっても利用できる蓄電池は、緊急時の備えとして注目を集めています。万が一の事態でも冷静に対処できるよう、正しい使い方をマスターしましょう。ここでは、停電時の蓄電池の使い方について解説します。
自動的に自立運転モードに切り替える
停電した際には自立運転モードへの切り替えが必要です。自動的に切り替わる設定であれば、操作しなくとも自立運転モードで電気が使えるようになるでしょう。ただし、切り替わるまでの時間は機器によって異なります。電気が復旧した後は、手動で通常モードに切り替えるのが一般的です。
手動で自立運転モードに切り替える
手動で切り替える場合、モニターを操作する必要があります。実際の手順は機器によって異なりますが、主電源ブレーカーと太陽光発電のブレーカーをオフにするのが一般的です。取扱説明書で事前に確認し、正しい手順で自立運転モードに切り替えましょう。復旧後は、再度モニターを操作して通常モードに戻します。
停電時に蓄電池を使用する際の注意点
蓄電池には停電時の備えという役割があります。停電が発生したときに蓄電池を使えないといった事態にならないよう、日常生活の中で準備をして停電時に活用できる環境を整えましょう。ここでは、停電時に蓄電池を使用する際の注意点を3つ紹介します。
事前に蓄電池の設定を確認しておく
蓄電池の自立モードへの切り替えが自動と手動のいずれかを選べる場合、どちらの設定になっているか確認しましょう。突然の停電の際に暗闇で操作するのは難しいため、可能であれば自動で切り替わるように設定することをおすすめします。
手動で切り替えたい場合、事前に取扱説明書を確認して、切り替え方法を把握することが大切です。何度かシミュレーションし、停電時も冷静に対応できるよう備えましょう。
普段から電力を使いきらないようにする
蓄電池に蓄えた電力を放電することで、電気代を減らせる点は蓄電池ならではのメリットですが、むやみに消費するのは避けましょう。停電が発生したときに蓄電池の残量がぎりぎりの状態だと、電気がすぐに使えなくなります。
緊急時にも蓄電池を活用するには、普段からある程度の電力は残したほうがよいでしょう。一定以上の電力を残せる蓄電優先モードを利用するのもおすすめです。
蓄電池の容量を確認しておく
停電時に問題なく使用できる電気の使用量は、蓄電池の容量や電圧によって異なります。例えば、100Vのみに対応する蓄電池の場合、エアコンには使用できません。エアコンを稼働させるには、200Vに対応する蓄電池が必要なためです。
また、一度に動かせる家電の数と時間は蓄電池の容量で変わります。停電時に使用したい家電の消費電力量を把握した上で、必要な容量を確認しましょう。
電気の使い方で決める蓄電池の選び方
蓄電池を購入するときは、家庭での使用状況を考慮しながら選ぶ必要があります。スペックのみで決めると、思っていた使い方ができないかもしれません。ここでは、消費電力量や太陽光発電の有無、停電時の使い方に配慮した選び方について解説します。
容量は消費電力量で決める
消費電力量(Wh)=消費電力(W)×電気を使う時間(h) ※消費電力量をkWhで表すのであれば、結果を1,000で割る |
消費電力は家電ごとに異なります。主な家電の消費電力の目安は以下の通りです。
・液晶テレビ:150W
・電子レンジ:1,100W
・IHコンロ:700W
・ドライヤー(出力高):1,200W
また、電気料金は時間帯によって差があるため、電気を多く利用する時間帯も明らかにするのがポイントです。複数の要素を検討した上で、環境に合った容量を決めましょう。
太陽光発電との兼ね合いでタイプを決める
蓄電池には「ハイブリッド型」と「単機能型」の2つの選択肢があります。ハイブリッド型は太陽光発電と蓄電池のパワコンを一体化した蓄電池、単機能型はそれぞれのパワコンが独立した蓄電池です。太陽光発電のパワコンの稼働状況によって選ぶとよいでしょう。
太陽光発電と蓄電池を同時に導入する場合、設置スペースが小さくて済み、電気の変換効率が優れているハイブリッド型をおすすめです。一方、太陽光発電を備えている場合、単機能型が向いているケースがあります。例えば、設置から1年程度であれば太陽光発電のパワコンはまだまだ使えるため、単機能型にしたほうが導入費用は節約できるでしょう。
停電時の使い方でタイプを決める
停電時の使い方に合わせて選べる「全負荷型」と「特定負荷型」は、停電時に電気を供給する範囲が異なります。
・全負荷型:建物全体に電気を供給する(部屋を問わずに利用が可能)
・特定負荷型:あらかじめ決めた範囲にのみ電気を供給する
普段と変わらずに電気が使える全負荷型は、自由度の高さがメリットです。ただし、本体のサイズが大きくなりやすい点はデメリットといえるでしょう。
特定負荷型はコンパクトな機器が多く、スペースが狭くても設置しやすいタイプです。一方、電気を使える場所が限られるため、停電時にはいつも通りの生活は送れません。それぞれの特性を理解した上で、安心して使えるほうを選ぶとよいでしょう。
蓄電池の使い方に不安があるなら実績豊富な業者へ相談を!
蓄電池は環境保護や電気代の節約、停電時の備えとして力を発揮します。蓄電池を導入したいけれど使い方に不安があるという方は、実績が豊富な業者に依頼しましょう。
リベラルソリューションでは、蓄電池だけでなく太陽光発電との同時導入プランもご提案します。懸念されるリスクやデメリットはあらかじめ共有し、納得した上で契約へと進むため安心です。ひとりひとりの悩みや希望に合わせて、少しでも満足していただけるよう取り組んでいます。
取り扱う機器の種類が多く、理想を叶えられる点も私たちの強みです。入念なシミュレーションを重ね、疑問や不安を解消しながら魅力ある生活を実現しましょう。
まとめ
蓄電池を有効活用するには、5つのモードを理解しましょう。最適なモードが選べれば、「電気代を節約したい」「環境に優しい使い方がしたい」「停電時に備えたい」といった希望に合った使い方ができます。停電時に備えて、自立運転モードの切り替えの手順を確認するとよいでしょう。
リベラルソリューションでは、蓄電池や太陽光発電の導入に関するご相談を受け付けています。導入後には充実のサポート体制を整えているため、使い方が分からないといったお問い合わせも可能です。導入を検討している方は、ぜひこの機会に一度ご利用ください。