家庭用蓄電池は停電時に役立つ?使える電気量と日数の目安・選び方も

蓄電池は災害時に役立つことでも注目を集めていますが、充電した電力は何時間くらいもつのか気になっている方もいるのではないでしょうか。中には、蓄電池の必要性があまり分かっておらず、「発電機があれば良いのではないか」と考えている方もいるでしょう。

そこで今回は、災害時の蓄電池の使い方や発電機との比較について解説します。蓄電池で使える電化製品や時間が分かれば、いざというときに落ち着いて行動できるでしょう。太陽光発電とのシステム連動や補助金も紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。

目次

1. そもそも家庭用蓄電池とは?

家庭用蓄電池とは、家庭で使用する電気をためておき、必要なときに取り出して使える設備のことで、主に太陽光発電システムと組み合わせて導入されるケースがほとんどです。日中に太陽光パネルで発電した電気のうち、使いきれなかった余剰電力を蓄電池にためておくことで、夜間や天候の悪い時間帯にも電気を利用できます。

現在主流となっている家庭用蓄電池には、リチウムイオン電池が採用されています。リチウムイオン電池は、小型・軽量でありながら蓄電容量が大きく、充放電を繰り返しても性能が低下しにくい点が特徴です。そのため、長期間にわたって安定した運用が可能とされています。

家庭用蓄電池を導入することで、電気代の削減や自家消費率の向上が期待できるほか、災害時の非常用電源としても活用できます。こうした点から、近年は住宅の防災対策やエネルギー対策の一環として注目されています。

1-1. 停電時にも使える家庭用蓄電池の仕組み

前述の通り、家庭用蓄電池は太陽光発電パネルや電力会社から供給される電気を、蓄電池本体にためておける仕組みとなっています。

太陽光発電のみを設置している場合でも、晴天の昼間であれば停電時に発電した電気を使うことは可能です。

しかし、太陽光発電と家庭用蓄電池が連動していれば、昼間に発電した余剰電力を蓄電池にためておけるため、夜間や早朝といった発電できない時間帯にも電気を使用できます。

また、このとき直流と交流の電気を変換・制御する役割を担うのが「パワーコンディショナー」です。パワーコンディショナーを介して電力を適切に制御することで、平常時は効率良く電気を使い、非常時には家庭内へ安定した電力供給を行えるようになります。

2. 家庭用蓄電池の導入が増えている理由

近年、日本では家庭用蓄電池を導入する家庭が増えています。その背景には、国や自治体の補助金制度において、蓄電池の設置が支給要件となっているケースがあることや、電気代の上昇が続いていることなど、複数の要因があります。

加えて、太陽光発電とあわせて蓄電池を導入することで、自家消費率を高め、電気代の負担を大きく抑えられる点も注目されています。

しかし、実際に多くの家庭が蓄電池を導入する最大の目的は、経済的なメリットだけではありません。家庭用蓄電池の導入において特に重視されているのが、地震や台風などの自然災害による「停電への備え」です。

大規模な災害が発生すると、広範囲で停電が起こり、長時間にわたって電気が使えなくなるケースも少なくありません。停電が長引くと、生活の不便さだけでなく、命に関わるリスクが高まります。

例えば、在宅療養中で医療機器を使用している場合、停電によって充電や電源の確保ができなくなると、生命に直結する事態につながるおそれがあります。

また、乳幼児や高齢者など体力が十分でない人は、空調が使えない環境で長時間過ごすことで体調を崩しやすくなります。冷蔵庫が停止し、食料や薬を安全に保管できなくなる点も見逃せないリスクの1つです。

日本は「災害大国」とも呼ばれており、災害の規模や被害状況によっては、停電の復旧に数日から数週間以上かかる可能性も十分にあります。このような状況下では、電気を自力で確保できるかどうかが、後の生活や安全を大きく左右するポイントとなります。

家庭用蓄電池は、災害時に電気を確保し、命をつなぐための重要な設備です。単なる便利な設備ではなく、非常時に家族を守るための備えとして、蓄電池の導入が広がっていると言えるでしょう。

3. 家庭用蓄電池の種類(仕様)による「停電時の使い勝手」の違い

家庭用蓄電池と一口に言っても、機種によって仕様や機能性は大きく異なります。

特に、災害や停電への備えとして蓄電池の導入を検討する場合は、平常時の利便性だけでなく、停電時に「どこまで電気が使えるのか」「どのような操作が必要なのか」を事前に理解しておくことが重要です。

停電時の使い勝手を左右する主なポイントとして、「電力の供給方式」と「自立運転モードへの切り替え方法」の2つが挙げられます。これらの仕様によって、停電中に使用できる家電の範囲や、非常時の対応のしやすさが大きく変わることを覚えておきましょう。

ここからは、それぞれの違いと基本的な特徴を紹介します。

3-1. 「特定負荷型」と「全負荷型」|停電時に使える電気の範囲

家庭用蓄電池の電力供給方式には、「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類があります。

特定負荷型は、あらかじめ決めた一部のコンセントや回路のみに電気を供給する方式です。冷蔵庫や照明、通信機器など、停電時に最低限必要な設備に電力を集中させる設計となっています。

一方の全負荷型は、停電時でも家庭内のほぼすべての回路に電気を供給できる方式です。普段と近い生活環境を維持しやすい点が特徴ですが、蓄電池の容量には限りがある点には注意が必要と言えるでしょう。

3-2. 「手動切り替え」と「自動切り替え」|停電時の操作方法

停電が発生した場合、家庭用蓄電池はそのままでは電気を供給できません。電力会社からの送電を遮断し、蓄電池から電気を供給する「自立運転モード」に切り替える必要があります。この切り替え方法には、機種によって「手動」と「自動」の2種類があります。

手動切り替えタイプは、停電時に利用者自身が操作を行い、自立運転モードへ移行する方式です。一方の自動切り替えタイプは、停電を検知すると自動的に自立運転モードへ切り替わる方式となっています。

手動切り替えタイプと自動切り替えタイプとでは、停電発生時の対応方法が異なるため、導入前に仕様を確認しておくことが大切です。

4. 停電時は家庭用蓄電池でどれくらい生活できる?

停電時に家庭用蓄電池でどれくらい生活できるのかを把握するためには、まず家電ごとの消費電力の目安を知り、そのうえで停電中にどの程度の電力を使用するのかを想定することが重要です。

蓄電池の容量だけを見ても、実際の使用状況が分からなければ、どれくらい生活を維持できるのかを正確に判断することはできません。

停電時には、すべての家電を普段通り使うのではなく、照明や冷蔵庫、スマートフォンの充電など、生活に最低限必要なものに節約して使うケースが一般的です。こうした前提を踏まえ、使用が想定される家電の消費電力を確認しておくことで、蓄電池でカバーできる生活レベルの目安が見えてくるでしょう。

ここからは、家庭でよく使用される電化製品ごとの消費電力の目安を踏まえ、5kWh蓄電池でカバーできる生活日数の目安を分かりやすく紹介します。

4-1. 家電ごとの消費電力の目安

一般家庭でよく使用される主な電化製品の消費電力目安は、下記の通りです。

電化製品の種類消費電力
エアコン300~3,000W
IHクッキングヒーター1,400~3,000W
電子オーブンレンジ1,000~1,400W
食器洗い機1,100~1,300W
洗濯機200~400W
冷蔵庫100~300W
ファンヒーター10~450W
デスクトップパソコン100~300W
液晶テレビ100~400W

冷蔵庫やファンヒーターのほか、照明、スマートフォンの充電は比較的消費電力が少なく、計画的に使用することで蓄電池の電力消費を抑えることが可能です。

一方で、IHクッキングヒーターや電子オーブンレンジなどは消費電力が大きく、停電時にも普段通りに使用すると蓄電池の電力を一気に消費してしまうおそれがあるため、慎重に、かつ計画的に使用することが大切です。

4-2. 5kWh蓄電池でカバーできる生活日数の目安

5kWhの蓄電池でも、使用する電化製品によって電力を使える時間は異なります。停電中に使用する電化製品を最低限に限定する特定負荷型と普段通りに使用する全負荷型に分けて比較しました。

【特定負荷型で最低限の電化製品を使用した場合】

使用する電化製品1時間あたりの消費電力1日の使用時間1日の消費電力
冷蔵庫33W24時間792W
LED電球照明80W(2部屋分)5時間400W
テレビ150W3時間450W
スマホ充電器15W4時間60W

●1日の消費電力

792W + 400W + 450W + 60W = 1,702W


●電力を使用できる日数

5,000Wh ÷ 1,702W = 2.93日

1日の消費電力は1,702Wであり、5kWhの特定負荷型蓄電池で約3日分の電力をカバーできることが分かります。

【全負荷型で最低限の電化製品を使用した場合】

使用する電化製品1時間あたりの消費電力1日の使用時間1日の消費電力
冷蔵庫33W24時間792W
LED電球照明80W(2部屋分)5時間400W
テレビ150W3時間450W
スマホ充電器15W4時間60W
パソコン100W5時間500W
炊飯器150W1時間150W
エアコン500W3時間1,500W

●1日の消費電力

792W + 400W + 450W + 60W + 500W + 150W + 1,500W = 3,852W

●電力を使用できる日数

5,000Wh ÷ 3,852W = 1.29日

1日の消費電力を3,852Wと仮定すると、5kWhの蓄電池で使用できる時間は約1.3日です。

ただし、上記はあくまで目安であり、実際にどれくらい生活できるかは各家庭の使い方次第です。自宅の生活スタイルを想定しながら、必要な蓄電池容量を検討することが重要と言えるでしょう。

5. 家庭用蓄電池を選ぶ際におさえておくべきポイント

家庭用蓄電池は、容量や出力といった数値だけを見て選べば良いわけではありません。

停電時に使える電気の範囲や操作方法、どの程度生活をカバーできるかといった点を踏まえたうえで、家族構成や住まいの設備、非常時に何を優先したいかに合わせて選ぶことが重要です。

ここからは、「いざというときに役立つ家庭用蓄電池」を選ぶために、特に確認しておきたい4つのポイントを紹介します。

5-1. 容量(kWh)と出力(kW/W)

家庭用蓄電池を選ぶ際、まず確認したいのが「容量(kWh)」と「出力(kW/W)」です。

容量(kWh)はどれだけの電気をためられるかを示す指標で、数値が大きいほど停電時に長く電気を使えます。一方、出力(kW/W)は一度にどれくらいの電力を取り出せるかを表しており、出力が小さいと複数の家電を同時に使用できません。

容量や出力が不足している場合、使える時間が短くなるだけでなく、消費電力の大きい家電を動かせないといった制限が生じます。

ただし、容量・出力が大きいほど本体価格や工事費も高くなるため、単純に「大きければ安心」とは言い切れません。最も大切なのは、停電時に使いたい家電や生活スタイルを想定したうえで、コストと安心感のバランスを取ることです。

5-2. 停電時に使える電気の範囲

家庭用蓄電池には、停電時に一部の回路のみに電気を供給する「特定負荷型」と、家全体に電気を供給できる「全負荷型」があります。

特定負荷型は、冷蔵庫や照明など必要最低限の家電に電気を絞って使う方式で、導入コストを抑えやすい点が特徴です。普段通りの生活はしにくいものの、消費電力を管理しやすく、蓄電池の電気を長く使えます。

一方、全負荷型は家全体に電気を供給できる方式で、停電時でも普段に近い生活を維持しやすい点がメリットです。そのぶん、設備や工事のコストは高くなりやすいため、どこまでの生活レベルを求めるかを基準に選ぶ必要があります。

5-3. 自立運転モードへの切り替え方法

停電時に蓄電池の電気を使うには、電力会社からの送電を遮断し、蓄電池から電気を供給する「自立運転モード」へ切り替える必要があります。この切り替え方法には「手動」と「自動」の2種類があります。

手動切り替えタイプは、停電時に操作が必要となるものの導入コストを抑えやすく、システム構成がシンプルでトラブルが起きにくい点が特徴です。

一方の自動切り替えタイプは、停電と同時に自立運転へ移行するため操作の手間がなく、非常時の使いやすさに優れています。ただし、設備費用は高くなる傾向があります。

5-4. 停電時に使える電圧

停電時に使用できる家電は、蓄電池が対応している電圧によっても変わります。

100V対応タイプであれば、冷蔵庫や照明、テレビ、スマートフォンの充電など、最低限の生活に必要な家電は使用可能です。一方、200V対応タイプでは、エアコンやIHクッキングヒーターなどの高出力家電も使えるため、特にオール電化住宅では安心感が高まります。

ただし、200V対応タイプは本体価格や工事費が高くなりやすいため、停電時に本当に使いたい家電が200Vかどうかを確認したうえで検討すると良いでしょう。

6. 発電機よりも蓄電池にメリットが多い4つの理由

蓄電池と同様に、発電機も緊急時に電気を使えるようにする機器です。蓄電池と同じように非常時に電気の供給ができるので、発電機があれば蓄電池は必要ないと思う方もいるかもしれません。

しかし、蓄電池には発電機にはないメリットが多くあります。そこで次に、発電機よりも蓄電池にメリットが多いと言われる理由を4つ紹介します。

6-1. 燃料が不要なため

蓄電池は燃料が不要である点がメリットです。一方、発電機を使用する際には燃料が必要なため、燃料の調達や保管の手間がかかります。

特に、ガソリンは揮発性が高く、厳重に管理しなければ火災に発展するおそれがあり危険です。また、保存可能な期間が短いガソリンは、長期保存ができません。緊急時の備えとして導入するには、あまり適していないと言えるでしょう。

一方の蓄電池は、太陽光発電や家庭用電源で日常的に電力を蓄えているため、燃料の調達や保管の必要がありません。突然停電しても、リスクなく手軽に使えるでしょう。

6-2. 定期的な動作確認が不要なため

発電機は日常的に使う機会が少なく、緊急時に起動しても正常に運転しないおそれがあります。いざというときに使用するためには定期的な動作確認が必要で、日頃から手間をかけてメンテナンスしなければなりません。

一方、蓄電池は災害時に限らず日常的に使用しているため、定期的に動作確認をしなくても緊急時には問題なく使えるというメリットがあります。

また、たまにしか使わない発電機とは異なり、いざというときに使い方が分からず悩むこともないでしょう。定期点検の手間がかからず、緊急時の運転に不安がない点は、蓄電池のほうがより優れています。

6-3. 宅内で使用する電化製品を網羅できるため

発電機の場合、宅内で使用する電化製品の電力を全て賄うには相応の容量を備えた機器が必要です。容量の大きい発電機はサイズが大きく値段も高額なため、停電時のためだけに用意するには置き場所や費用対効果の面で難があります。また、発電機は燃費が悪く、長期間の停電には対応しにくいのも欠点です。

一方で、全負荷型蓄電池の場合、特に意識しなくてもほとんどの機種が宅内の電気使用量を賄えます。特定負荷型でも、任意で決めた範囲で特に特別な配線の必要もなく使用が可能です。停電時にも無理なく使用でき、災害への備えとして十分役立つでしょう。

6-4. 運転音が静かなため

燃料を使う発電機は運転音が大きく、夜間の使用には向いていません。新品のときは静かでも、劣化するにつれて音が大きくなるため、近隣の迷惑になる懸念があります。

一方で、蓄電池は動作中も静かで、騒音問題に悩まされることはありません。

7. 蓄電池の導入で活用できる補助金

国や地方自治体では、再生可能エネルギーの普及や災害時の電力確保を目的として、家庭用蓄電池の導入に対する補助金制度を設けています。蓄電池は本体価格や設置工事費が高額になりやすい設備ですが、補助金を活用することで初期費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

補助金制度は年度ごとに内容や条件が変わることも多いため、蓄電池の導入を検討する際は、国や自治体が実施している制度の中に対象となるものがないかを事前に確認し、積極的に活用すると良いでしょう。

下記に、国と地方自治体における「蓄電池に関する代表的な補助金制度」をまとめます。

国による補助金制度
●DR家庭用蓄電池事業
DR家庭用蓄電池事業は、電力需給の安定化を目的として、家庭用蓄電池の導入を支援する国の補助金制度です。一定の要件を満たす家庭用蓄電池を導入する場合に補助金が支給されます。2025年(令和7年)におけるDE補助金の上限額は「60万円」でした。
地方自治体による補助金制度
●家庭における蓄電池導入促進事業(東京都)
東京都では、家庭部門におけるCO2排出削減や防災力の向上を目的として、蓄電池の導入に対する補助制度を実施しています。対象となる家庭が蓄電池を設置した場合、機器費や工事費の一部が補助される仕組みです。補助額や対象条件は年度ごとに設定されており、太陽光発電との併設が要件となるケースもあります。

●住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金(神奈川県)
神奈川県でも、再生可能エネルギーの普及促進を目的として、住宅用太陽光発電システムや家庭用蓄電池の導入に対する補助金制度を設けています。年度ごとに補助対象や補助金額、申請期間が定められるため、制度の詳細を確認したうえで早めに準備することが大切です。

8. 災害に強い蓄電池選びは専門家に相談を

災害の備えとして蓄電池を選ぶ際は、専門家に相談することをおすすめします。専門知識がない方が選ぶと、非常時に使用したい電力量の計算を誤ったり必要としない高額な大容量蓄電池を購入したりする恐れがあるためです。

蓄電池の購入を検討している方は、実績豊富なリベラルソリューションにご相談ください。自宅での効果的な蓄電池のノウハウを熟知しているリベラルソリューションなら、それぞれの環境に最適な機種をご紹介できます。

まとめ

蓄電池は、災害時に命をつなぐ役割をもつ設備です。災害が多い日本では緊急時に備える方が増えており、近年続けて発生した大規模停電の影響もあって蓄電池の需要は高まっています。

しかし、蓄電池の機種は多岐にわたり環境によって最適な機種は異なるため、個人ではベストな選択をするのは難しいでしょう。機種選びでお困りの際はリベラルソリューションにお申し付けください。環境や予算を考慮して、ぴったりな蓄電池をご提案いたします。

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