日本で固定価格買取制度が開始された当初と比べると売電価格は下がりました。売電単価の低下を補うために設備の拡充を検討している方もいるのではないでしょうか。太陽光発電は増設することで出力を高めて発電効率をアップさせることが可能です。
そこでこの記事では、太陽光発電の増設とは何か解説した上で、そのメリットや注意点をご紹介します。売電収入をより多くしたい、増設を考えているといった方に役立つ内容です。
太陽光発電の増設はソーラーパネルを追加すること
太陽光発電における「増設」とは、設備が稼働して売電をスタートした後でソーラーパネルの数を追加することを意味しています。10kW以上の設備については、パワーコンディショナの容量を超えた増設(事後的過積載)に対する規制がありますが、10kW未満の家庭用は対象外です。
増設と過積載が混同されることがありますが、正確な意味合いは異なります。過積載はソーラーパネルの容量がパワーコンディショナの容量を上回ることを指しており、増設しても過積載になるとは限りません。
太陽光発電を増設する2つのメリット
現状の運用結果に満足していない方やメリットをさらに享受したい方は、増設を検討してはいかがでしょうか。ソーラーパネルの枚数を増やすだけでも、発電の効率が向上する可能性はあります。発電設備の増設で得られるメリットは、主に以下の2つです。
発電量と売電収入を増やせる
増設すると、設備の維持や管理にかかるコストはほとんど変わらずに発電量を向上させられます。パネルの枚数が増えてもメンテナンスにかかるコストには影響がないため、手間や維持費にはほぼ影響しません。単純に発電量だけを伸ばすことが可能です。
発電量が増えることで、売電収入の向上も期待できるでしょう。10kW未満であれば、基本的に増設してもすでに設置されているパネルと同様の売電価格が適用されます。
ピークカットがあっても発電量をカバーできる
増設したことによって過積載状態になると、ピークカットが発生します。ピークカットは電力がパワーコンディショナの容量を超えて売電できなくなる状態を指しており、ピークカットを超えて発電した電力は有効利用できません。
ピークカットでロスが発生するため増設しても損が発生すると思う方もいるかもしれませんが、電力はいつも最大限まで作れるわけではありません。ピークカットのロスよりも、悪天候時の発電量が上がるメリットのほうが大きいため、全体の収支はプラスになります。
太陽光発電を増設する際の2つの注意点
ソーラーパネルの増設には発電量を向上させるメリットがありますが、注意が必要なポイントも存在します。デメリットが発生するケースもあるので事前に押さえておきましょう。ここでは、増設する前に把握しておくべき2つのポイントを解説します。
違うメーカーや業者で増設すると保証が外れる可能性がある
元から設置していたパネルに後から別メーカーのパネルを追加したり、別業者に施工を依頼したりすると、保証が外れてしまうケースがあります。故障や不具合が疑われる事態が発生しても、スムーズな点検やメンテナンスを受けられない可能性があるので注意しましょう。
また、同じメーカーのパネルであっても、パワーコンディショナの許容量を超える出力のパネルを設置すると保証が受けられなくなるケースもあります。
売電価格が下がる可能性がある
パネルの増設によって売電価格が下がってしまう場合があります。以下のケースに該当する場合は認定を取り直す必要があり、現在の売電価格よりも下がる可能性があるので注意しましょう。
・既存の主力が10kW未満で、増設により10kWをオーバーする場合
・既存の出力が10kW以上で、認定出力がわずかでも向上した場合
・既存の主力が10kW以上で、3kW未満、もしくは3%未満の範囲を超える増設をした場合
発電量が上がっても、売電価格が下がっては増設前より売電収入が減ってしまうこともあるので、慎重な判断が求められます。
太陽光発電システムの増設による買取価格や買取期間への影響
太陽光発電で得られる電力を売電するときに重要なのが、買取価格や買取期間です。増設前と増設後の容量によって影響は大きく異なるので、事前確認は必須といえるでしょう。ここからは、FIT制度が適用されている方が増設をするケースについて説明します。
増設後でも10kW未満のケース
増設しても10kWを超えなければ、受給開始時点の買取単価のまま据え置きとなります。基準日が変わることもなく、期間は延長されません。
例えば、2011年1月に電力受給契約を開始した方がパネルを増設しても容量が10kW未満だったケースでは、2011年1月時点での住宅用10kW未満の買取価格「48円(税込)/kWh」及び、買取期間10年のまま運用できます。
増設により10kW以上になるケース
増設前に10kW未満だった容量が増設によって10kW以上になるケースでは、買取価格が変更されて、増設後に申請した時点での価格が反映されます。契約時点よりも売電価格が大きく下がっているケースでは損をすることもあるので、慎重に判断しましょう。
期間は20年に延長されますが、売電できるのは余剰電力のみとなります。全量売電はできないのでご注意ください。
増設前から10kW以上のケース
増設前から容量が10kW以上のケースでは、増設でわずかでも認定出力が上がると、増設分だけではなく、既存のパネルで発電した電力分も増設後の買取価格に変わってしまいます。期間の延長はなく、売電スタート時点から20年のままです。
売電価格は制度開始当初と比べて下がっているため、増設したパネル容量次第では増設前よりも売電収入が下がることもあるでしょう。
太陽光発電の増設前にする2つの対策
増設する際は、事前に対策を講じることが大切です。適切な対策をあらかじめ把握しておけば、損をすることなく安心して増設ができるでしょう。ここでは、太陽光発電の増設前にやっておきたい2つの対策について解説します。
売電期間の延長が可能か確認する
受給開始時期を把握し、売電期間の延長が可能かどうかを確認した上で増設の判断をしましょう。設備を設置して受給開始した期間と、増設前と増設後の容量によって売電期間が延長されるか否かが決まります。
全量買取制度が開始された2012年7月1日以前に設置していたかどうかで増設後の買取価格が大きく変動するので、受給開始日は忘れずに確認しましょう。増設後の容量も影響するため、業者と増設のメリットをよく話し合うことをおすすめします。
増設による補助金があるかを確認する
太陽光発電の設備を設置する際の補助金活用はよく知られていますが、増設でも補助金が出るケースがあることは知らない方もいるのではないでしょうか。利用できる制度があるか否かは自治体ごとに異なるので、お住まいの地域ごとに確認しましょう。
増設の場合は、設置の際に交付された補助金と1件あたりの補助金上限額との差額を受け取れます。設置のときよりも額は小さいですが、忘れずに申請しましょう。
太陽光発電の増設はリベラルへご相談を!
太陽光発電の制度は複雑なため、専門的な知識をもつプロのサポートは必須といえます。導入時期や設備の内容によって売電価格・期間が変動するため、制度をうまく利用できるか否かで売電収入に大きな差が出ます。
増設の前後の容量や受給開始時期で売電価格が変動するので、増設を考えている方はまずは業者へ相談しましょう。増設するパネルの選び方や容量も相談できるので、初めて増設する方でも安心して実施できます。
リベラルソリューションでは、太陽光発電の増設に関するご相談やお見積もりを承っています。メーカー選びやお得な増設方法でお悩みの際は、リベラルソリューションにお声掛けください。
まとめ
太陽光発電における増設とは、ソーラーパネルを追加することを意味しています。増設には発電量を向上させる効果があり、売電収入を増やすことが可能です。ただし、増設によって売電価格が下がることもあるので、専門家に相談してから判断しましょう。
リベラルソリューションでは、太陽光発電の増設のご相談を承っています。各種制度や消防法に精通した専門家がサポートしますので、設置や増設をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。