太陽光発電の撤去を検討している方の中には、費用がどのくらいかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。撤去にあたっては、運搬費や処分費などの費用もかかります。何にどれくらい費用がかかるか知っておけば、用意する金額に悩まなくて済むでしょう。
そこでこの記事では、太陽光発電を撤去する際にトータルで必要となる費用を解説します。撤去業者の選び方も紹介しますので、参考にしてみてください。
太陽光発電を撤去する主なケース
一度設置すれば長期にわたって利用できる太陽光発電ですが、さまざまな理由で撤去するケースも珍しくありません。ここからは、どのような場合に撤去する必要があるのか確認します。太陽光発電を導入予定の方、撤去すべきか迷っている方は参考にしてみましょう。
屋根材(瓦など)の葺き替えや塗装工事をする場合
住宅用の場合、瓦などの屋根材の上に太陽光パネルが載っているのが一般的です。そのため、葺き替えや塗装工事といったリフォームをする場合は撤去しなければいけません。継続して使用する場合は処分せず、屋根の工事が完了した後に再設置する流れです。事前に施工業者に相談しましょう。
家屋を解体する場合
現在ある家屋を解体するときは、太陽光発電設備の撤去や処分も含めて解体業者へ委託する必要があります。新築に建て替える場合も同様です。太陽光パネルは産業廃棄物として適切な処理が必要となるため、中間処理業者へ処分を依頼するのが一般的でしょう。
パネルやパワーコンディショナを交換する場合
パネルやパワーコンディショナを交換する際は、施工会社または販売会社へ連絡しましょう。故障したパネルやパワーコンディショナの撤去費や処分費は、販売会社または施工業者の見積書に含まれています。メーカー保証が適用できる場合は、費用がかかりません。
FIT満了または老朽化で継続運転を断念する場合
住宅用では導入後10年続く固定価格買取制度(FIT)の期間満了による売電収入の減少や設備の劣化を理由として運用を中止する場合は自己都合での撤去となるため、費用が発生する点に注意しましょう。
太陽光発電システムは複数の設備から構成されています。撤去するとなれば、さまざまなものに撤去費用が発生する点も理解しましょう。どのような設備が対象になるか、これからご紹介します。
撤去費が発生する太陽光設備はモジュールだけではない
撤去費が発生する太陽光設備を以下にまとめました。
・モジュール(パネル)
・架台レール
・ケーブル
・パワーコンディショナ
・集電盤モニター
・取り付け金具
など
売電メーターは電力会社の管轄となるため、費用は発生しません。それぞれの設備、パーツによって処分方法も異なります。
太陽光発電の設備は産業廃棄物と一般廃棄物に分かれる
撤去された各種設備はそれぞれ適切な方法で廃棄することになります。産業廃棄物と一般廃棄物、どちらに該当するかは最低限知っておきましょう。産業廃棄物は、所定の方法で正しく処理しないと法令違反になるからです。中には、リサイクルできる設備もあります。
太陽光モジュールは産業廃棄物
太陽光モジュールは、鉛、セレン、カドミウムといった有害物質を含んだ産業廃棄物です。撤去の状況によって排出者が異なる2つのパターンを見てみましょう。ひとつ目は、自然災害などが原因で落下したり、破損したりして家主が撤去するケースです。家主が自治体が認可する産廃運搬業者に依頼して運搬し、許可のある処分業者に処分を委託します。
2つ目は、リフォームなどで家主から解体業者が委託を受けて撤去するケースです。適切な処分をしない場合は廃棄法に違反したとみなされ、罰金や懲役刑に科せられることもあるため注意しましょう。国も業者が十分な知識を持った上で廃棄できるよう、情報提供する取り組みを実施しています。
(参考: 『太陽光発電設備を廃棄処理する際の留意点について 環境省』https://www.env.go.jp/content/900535847.pdf)
架台や電機機器は一般廃棄物
架台レールや付随する電子機器などは、各自治体の処理場へ持ち込み可能です。ただし、取り扱いは自治体により異なるため確認したほうがよいでしょう。ほとんどの場合、撤去を担当する業者が処分するため、自分で処理場へ持ち込むことはないかもしれません。
ケーブルの芯には銅が入っているため、処分業者が解体業者から買い取る場合もあります。少しでも費用の値引きを希望する方は、ケーブルの買取金額分を差し引けないか交渉するとよいでしょう。
太陽光発電の撤去費は〔作業費+安全対策費+諸経費〕で構成される
撤去費用は、モジュール(パネル)の枚数や設置先の環境によって金額に幅があります。具体的に、どのような条件で撤去費用に違いが生じるかも把握しておきましょう。ここからは、撤去費の内訳について解説します。
モジュールの撤去費は「枚数」か「作業数」で計算される
業者によって、モジュールの撤去費の算出方法は異なる点に注意しましょう。以下に、枚数と作業数それぞれの費用相場をまとめました。
枚数で計算する場合 | 相場:5,000円前後/モジュール1枚 |
作業数で計算する場合 |
モジュールの撤去費=作業日数×作業員数×人件費 相場:1万8,000円~2万2,000円/人 |
撤去の難易度が高いと判断された場合は、作業員数を増やしたり、作業日数を長くしたりします。基本的な作業では、1日に3人~4人の作業員を投入するのが一般的です。
設備の撤去費を「一式」として出すこともある
全ての太陽光発電設備を撤去する場合、業者によっては設備毎に撤去単価を記載せずにひとまとめで「一式」として算出することもあります。モジュール以外にもケーブルやパワーコンディショナなども撤去しなければならないため内訳を示さず、全体の費用だけを明記するスタイルです。この場合、枚数ではなく作業数で計算します。
安全対策費のほとんどは足場の設置費用
内訳に安全対策費という費目がある場合は、基本的に足場の設置費用だと考えてよいでしょう。足場には、家の壁の破損や、モジュールを高所で取り外すときの作業員の落下を防ぐ役割があります。そのため、太陽光発電設備の撤去には必要不可欠だといえるでしょう。足場費用の計算式は以下の通りです。
・足場費用=足場架面積(足場の全長 + 8m)×平米単価×日数
・平米単価=700円~1,000円(単管足場の場合)
見積もりを依頼する業者によって費用に差はあります。そのため、単価は目安として確認するとよいでしょう。天候が悪く作業ができない日があった場合でも、足場費用は発生します。
事務費や調査費など
諸経費として以下の費用も含まれます。
・事務費
・調査費
・交通費
・工事車両費
・損料(電動工具他)
・雑費(清掃他)
太陽光発電の撤去費用に付随する費用として捉えるとよいでしょう。作業員の交通費や使用する工事車両費なども費用に含みます。
撤去費以外に必要となる費用
運搬費と処分費が、撤去費以外に必要な費用です。これらは、排出者が有機物を含むモジュールの産業廃棄物を適切に処理するために使用されます。産業廃棄物処理法にのっとり、適切な処分をしなければ罰金や懲役刑の対象になってしまうため注意が必要です。ここからは、運搬費と処分費について説明します。
運搬費
運搬費の相場は、4tのロングトラック1台で2万5,000円前後です。処分場までの距離がどれだけあるかによって差が出ます。また、地域や産業廃棄物処理業者によってバラつきがあるようです。産業廃棄物を運搬できるのは自治体が許可した運搬業者に限られるので、適切な処理ができるよう注意しましょう。
処分費
処分場の役割は、法律にのっとった適切な処分方法で産業廃棄物を処分することです。10kW以上の産業用太陽光発電の処分費は、3万円前後/kWが相場となっています。例えば、30kWの太陽光パネルの処分費は約60万円です。
ただし、こちらも地域や産業廃棄物処理業者によってバラつきがあるため注意しましょう。費用が高騰することが考えられるのが、太陽光設備の処分が立て続けに起きる時期です。
撤去業者を選ぶときのポイント
太陽光発電の撤去が必要な場合、撤去業者へ委託する必要があります。さまざまな業者が存在するため、どのように候補を絞るのがベストなのか分からない方もいるのではないでしょうか。ここからは、撤去業者を選ぶときのポイントを紹介します。
屋根案件を専門としている太陽光発電の施工会社
太陽光発電設備施工業者によっては、屋根案件を専門としているところも存在します。一般的な施工業者よりも専門性の高い作業に慣れている上、作業数の関係もあって費用を抑えてサービスを提供できるのが強みです。
屋根上での工事や足場の手配など、屋根案件に関する工程を得意とするため、一般的な施工業者よりもスムーズに撤去してもらえるメリットがあります。専門性と費用面、どちらも重視したい場合にはおすすめです。
産業廃棄物の処理業者と正しく連携していることが必須
専門業者に撤去を委託する場合は、処分・廃棄までワンストップで対応してもらえるか、あるいは、産業廃棄物の処理業者と正しく連携しているか確認することをおすすめします。業者が産業廃棄物事業者の免許を所持しているかもチェックするとよいでしょう。
万が一委託後に不法投棄があった場合、排出者である家主も処罰の対象になってしまう可能性があります。
(参考: 『産業廃棄物を排出する事業者の方に 環境省』https://www.sanpainet.or.jp/service/doc/haisyutsu-pamphlet2.pdf)
複数の業者から相見積もりをとる
撤去費用、運搬費、処分費と太陽光発電の撤去・廃棄にはさまざまな費用が発生します。また、相場金額はあくまで目安であるため、設置状況により実際の金額と差が生じることもあるかもしれません。最低でも2社~3社から相見積もりを取って比較し、中央値を理解することで業者が提示する金額が適正価格かどうか判断しましょう。
安いからという理由だけで、飛びついて契約するのはおすすめできません。適正価格と判断した業者へ依頼するとよいでしょう。
太陽光発電を撤去した後で後悔しないために
やはり撤去しなければよかったと後悔しても、新たに太陽光発電を設置するとなればお金がかかります。撤去すると決める前に、他に活用法はないか考えるとよいでしょう。ここからは、撤去後に電力会社から買電した場合の支出額の目安やおすすめの活用法を確認します。
買電した場合の年間支出をざっくり試算しておこう
FITの満了を迎え、余剰電力による売電収入をこれまでほど見込めなくなった場合は撤去を考える方もいるかもしれません。しかし、忘れてはいけないのが撤去をすれば電力会社から電力を買って生活するスタイルに戻るということです。仮に撤去したとして、年間でどれくらいの電力を買うことになるのか把握しておけば、後悔せずに済みます。
例えば、1時間あたり1kWの電力を1か月間消費したとしましょう。その場合の年間支出は22万6,620円です。(1日20時間使った場合を従量電灯プランで想定して算出)
太陽光発電は自家用の発電設備としてベスト
FIT制度は住宅用の場合、設置後10年で満了を迎えます。しかし、満了したからといって太陽光設備を撤去するのはもったいないといえるでしょう。仮に老朽化を理由に撤去を考えている場合は、新しいシステムへの交換をおすすめします。最近人気を集めているのは太陽光発電と蓄電池のセット導入です。
家庭用蓄電池を導入すれば、昼間に発電した電力を蓄えて一日中活用できます。売電価格が下がり、これまで通りの売電収入を見込めなくなっても、100%自家消費に回すことで光熱費0を目指せるでしょう。
蓄電池は、停電時も非常用電源として活用できます。大容量のものを導入すれば、停電時も通常の生活レベルを維持できるような電力を使用可能です。また、電気自動車を所有している場合は自宅で充電できるため、わざわざ充電ステーションで会費を払って充電する必要もなくなるでしょう。
太陽光発電の撤去を検討しているときは
撤去すべきか迷っている、他に活用法があれば知りたいなどお悩みの際はリベラルソリューションへお気軽にご相談ください。撤去処分を含めて、後悔しなくて済むようにご家庭の状況に合ったプランをご提案します。
また、リベラルソリューションでは、スマートライフ化の相談も可能です。太陽光発電と相性の良い蓄電池導入やオール電化住宅プランなど、あらゆる面からお得を享受し続けられる暮らしのご提案をしています。太陽光発電設備は耐用年数30年以上といわれる長寿命の設備です。長く付き合える方法を条件に合わせてプランニングします。
まとめ
太陽光発電を撤去する場合は、撤去費用以外にも、運搬費や処分費などが発生します。産業廃棄物事業者の免許を持っている、あるいは専門の処理業者と正しく連携している業者へ委託しましょう。撤去前に買電の年間支出額や他の活用方法をリサーチして、慎重に検討することが大切です。
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