
電気料金の上昇や自然災害の増加を背景に、家庭での電力の使い方を見直す動きが広がっています。中でも近年特に注目されているのが、電気を「ためて使う」ことができる蓄電池です。太陽光発電と組み合わせることで、電気代の削減や非常時の備えにつながる点が評価されています。
一方で、蓄電池は決して安い設備ではなく、「今後価格はどうなるのか」「本当に今が導入のタイミングなのか」と悩む人も少なくありません。普及率や市場動向を正しく把握することは、後悔しない判断につながります。
そこで今回は、家庭用蓄電池の基礎知識から、2025年時点の普及率や価格水準、導入費用の考え方まで分かりやすく解説します。蓄電池の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1. そもそも「蓄電池」とは?

蓄電池とは、発電した電気を蓄えて必要なときに使える装置のことです。人々にとって身近なアイテムである乾電池やスマートフォンのバッテリーも、広い意味では蓄電池の一種に含まれます。
また、太陽光発電システムとセットで住宅に設置する蓄電池は「家庭用蓄電池」と呼ばれます。家庭用蓄電池は持ち運びを前提としないため、「定置型蓄電池」に区分されるのが特徴です。
家庭用蓄電池があれば、太陽光発電によって得た電気を無駄なく有効活用できます。日中に発電した電気を蓄電池に蓄え、夜間や天候の悪い時間帯に使用するというサイクルを確立すれば、電力会社から購入する電力量がさらに減り、電気代の大幅な削減が期待できます。
なお、太陽光発電と併用する蓄電池は、「全負荷型」と「特定負荷型」の2種類があります。
全負荷型は家屋全体に電力を供給できるため、停電時でも普段に近い生活を維持できます。しかし、通常時と同じ感覚で電気を使用すると消費が激しくなりやすい点に注意が必要です。
一方の特定負荷型は、あらかじめ指定した一部の回路のみに電力を供給するタイプです。冷蔵庫や照明、テレビなど最低限の家電を長時間稼働させるのに適していますが、使用できる範囲が限られるため、生活の自由度は下がるというデメリットがあります。
1-1. 蓄電池を導入するメリット
蓄電池を導入することには、下記のようなメリットがあります。
●電気代を大幅に削減できる
発電した電気を自家消費する割合が高まることで、電力会社から購入する電力量を減らせます。電気料金が上昇傾向にある現在、家計への負担軽減につながる点は大きなメリットです。
●停電になっても電気を使用できる
災害や事故による停電時でも、蓄電池に電気が残っていれば照明や家電を使用できます。非常時の安心感を確保できる点は、防災対策としても評価されています。
●太陽光発電の価値を最大化できる
売電単価が下がる中、蓄電池を併用することで「売る」より「使う」方向へシフトできます。卒FIT後を見据えた運用としても有効な選択肢と言えるでしょう。
2. 国内における家庭用蓄電池の普及率と動向

近年、日本国内では家庭用蓄電池の導入が着実に進んでいます。
一般社団法人日本電機工業会が公表している出荷実績データを見ると、家庭用蓄電池の累計出荷台数は年々増加しており、普及率が右肩上がりで推移していることが分かります。
| 年度 | 累計出荷台数 |
| 2024年度 | 158,852台 |
| 2023年度 | 156,079台 |
| 2022年度 | 132,411台 |
| 2021年度 | 123,046台 |
| 2020年度 | 115,301台 |
出典:一般社団法人 日本電機工業会「定置用リチウムイオン蓄電システム 出荷実績データ」
特に2022年から2023年にかけては導入数の伸びが顕著で、2024年度も前年比102%と増加傾向を維持しています。
国内における家庭用蓄電池の普及率が伸びる背景には、電気料金の上昇やエネルギーを取り巻く環境の変化に加え、家庭での電力の「自給自足」に対する関心が高まっていることが挙げられます。
太陽光発電と組み合わせることで、発電した電気を効率よく活用できる点が評価され、今後も家庭用蓄電池の導入は拡大していくと考えられています。
また、家庭用蓄電池の普及が進んでいる主な理由として、「防災意識の高まり」と「補助金制度の拡充」という2つの要因も大きく影響しています。ここからは、それぞれの理由について詳しく紹介します。
2-1. 導入増加の理由(1)防災意識の高まり
日本は地震や台風、豪雨など自然災害が頻発する国であり、大規模な災害が発生した場合、停電から復旧までに1週間以上を要するケースも珍しくありません。
特に夏や冬など、気温が極端に高い・低い時期の停電は、健康リスクに直結します。高齢者や乳幼児がいる家庭では、エアコンや暖房が使えない状況が命に関わる問題となるおそれもあるでしょう。
実際に、停電による体調悪化や熱中症などの被害が報道される機会も増えており、非常時の電力確保に対する意識は年々高まっています。
家庭用蓄電池があるかどうかは、災害時の生活の質を大きく左右します。照明や冷蔵庫、通信機器など最低限の電力を確保できれば、災害・停電時でも普段の日常に近い生活を維持しやすくなるでしょう。
さらに、蓄電池の存在は「いざという時も電気が使える」という心理的な安心感をもたらします。防災対策の一環として、蓄電池と太陽光発電を組み合わせることが有効であるという認識も広がりつつあり、導入増加を後押ししています。
2-2. 導入増加の理由(2)補助金の拡充
家庭用蓄電池の導入が進んでいるもう1つの理由が、補助金制度の拡充です。
国は、再生可能エネルギーの普及を目的として太陽光発電システムや蓄電池の導入を支援する政策を進めており、導入時の初期費用負担を軽減できる仕組みも整えています。
加えて、国の制度だけでなく、自治体独自の補助金が用意されているケースも少なくありません。自治体によっては国の補助金と併用できる場合もあり、条件が合えば導入コストを大幅に抑えることが可能です。こうした各種支援制度の存在が、蓄電池導入へのハードルを下げ、普及を加速させる要因となっています。
今後は、エネルギー政策の動向次第で補助金制度の内容が見直される可能性もあります。そのため、早めに情報収集を行い、自身の家庭に合った導入タイミングを見極めることが重要と言えるでしょう。
3. 【2025年】家庭用蓄電池の価格水準

家庭用蓄電池の価格は、年々下がっています。
三菱総合研究所が取りまとめたデータによると、2023年度時点における家庭用蓄電池の価格水準は、補助金制度を活用した場合で12.1万円/kWh(工事費込)となっていました。一方、補助金を利用しない場合は、約14万〜20万円/kWh(工事費込)が目安とされています。
価格の特徴として、蓄電池の容量が大きくなるほど、1kWhあたりのシステム価格や工事費が割安になる傾向が挙げられます。小容量モデルは初期費用を抑えやすい反面、kWh単価は高くなりやすく、容量の選び方によってコストパフォーマンスに差が生じます。
また、家庭用蓄電池の価格が下落してきた背景には、技術の進歩や市場拡大による量産効果があります。国もこうした流れを後押ししており、「第6次エネルギー基本計画」では、「2030年までに家庭用蓄電池のシステム価格を7万円/kWh程度まで引き下げる」という具体的な目標が掲げられています。
中長期的に見ると、今後蓄電池はさらに導入しやすい価格帯へと近付いていくことが見込まれるでしょう。
出典:経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(案)」
出典:経済産業省「再エネ大量導入時代における分散型エネルギーシステムのあり方」
3-1. 家庭用蓄電池の価格は今後どうなる?
国がさまざまな制度を推し進めていることもあり、家庭用蓄電池の価格は今後も緩やかに低下していく見込みです。ただし、「2030年には必ず7万円/kWhで導入できる」と断言できるわけではありません。
家庭用蓄電池の価格動向を読みづらくしている理由の1つが、蓄電池に不可欠なリチウムやコバルトといったレアメタル価格の不安定さです。特にリチウムは2022年頃まで高騰し、その後落ち着いたものの、依然として高止まりの状態が続いています。
さらに、為替レートや物流コストも蓄電池価格に大きな影響を与えます。これらは国際情勢や経済環境によって左右されるため、将来の価格を正確に予測することは困難です。
そのため、「蓄電池がもっと安くなるまで待つ」「今より安くなってから蓄電池を買う」という選択は必ずしも最適とは限りません。蓄電池を導入したい目的や必要性を踏まえ、自身のライフスタイルに合った導入タイミングを見極めることが重要です。
4. 蓄電池の導入するための3つの費用

蓄電池の価格は以前よりも安くなっているとは言え、導入にはまとまった額の費用がかかります。料金が適正かどうかを判断するには、費用の内訳を知ることが大事です。
ここでは、蓄電池の導入にかかる3つの費用の内訳とポイントについて解説します。
4-1. 蓄電池本体の購入費用
蓄電池本体を購入するのにかかる費用です。蓄電池の価格は販売店によってさまざまで、同じ機種でも価格が大きく異なる場合があります。蓄電池の相場を確認するには、複数の販売店から見積もりを取ることが重要です。
また、本体以外にも周辺機器といった必要なパーツがあります。本体価格には周辺機器の価格が含まれているか、別売りの場合は周辺機器にどの程度の費用がかかるかをしっかり確認しましょう。
4-2. 設置・工事費用
蓄電池を家屋に設置する際にかかる費用です。
一般的に、蓄電池の種類に応じて料金が決まりますが、追加の部材や工事に費用がかかる場合もあります。例えば、基礎工事や太陽光発電システムと連携する工事が必要なケースもあるため、見積もりをしっかりと確認することが大切です。
蓄電池を購入する販売店を選ぶ際には設置・工事費用だけでなく、メーカー公認のライセンスを取得しているか、実績があるかといった点も重視しましょう。
4-3. 電気工事費用
蓄電池の配線をつなぐ電気工事の費用です。具体的には、パワーコンディショナや配電盤と配線をつなぎ、システムとして連動させる工事を行います。
基本的には設備・工事費用に含まれる場合が多いものの、まれに販売店の都合で別の工事会社に依頼する場合もあります。
見積もりを確認して、電気工事が一緒に行われるかどうか、別の会社が施工する場合は料金をどちらに支払えば良いのかを把握する必要があるでしょう。
5. 蓄電池の価格はどうやって決まるの?

蓄電池にはさまざまな種類があり、価格にも幅があります。蓄電池の価格はどのような要素で決まるのでしょうか。
ここでは、蓄電池の価格が変動するポイントを紹介します。併せて、太陽光発電と組み合わせて使う際の注意点も確認しましょう。
5-1. 蓄電池の容量
蓄電池は機種ごとに電気を蓄えられる容量が決まっており、容量に応じて価格が変動します。容量が大きければ蓄えられる電力量も増えて長時間家電を稼働させられますが、その分、費用がかかるのが一般的です。
蓄電池の使い方や必要な電力量を考慮して、予算に合わせた機種を検討しましょう。目的もなく容量の大きい機種を選んでも、使いこなせずに無駄な出費になる恐れがあります。ただし、容量が小さ過ぎると、必要なときに電気が使えないという事態が考えられるため注意が必要です。
5-2. 蓄電池の種類
蓄電池にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴があります。例えば、「系統接続型(定置型)」は電力会社が供給する電気や太陽光発電による電気を充電できること、「コンセント接続型(ポータブル型)」はコンセントに差すだけで手軽に使用できることがメリットです。
一方、系統接続型は設置場所から動かせない、コンセント接続型は容量が少ないといったデメリットもあります。価格だけでなく環境や用途を考慮して選ぶことが大切です。
6. 蓄電池の導入がおすすめなケース・タイミング

近年は電気料金の上昇や売電環境の変化、災害リスクの高まりなど、蓄電池を取り巻く状況も大きく変化しています。
そのため、家庭用蓄電池は価格が下がるのを待ってから導入するよりも、自身の生活スタイルや電力の使い方に合ったタイミングで判断するほうが、結果的に高い経済メリットを得られる可能性もあります。
ここからは、蓄電池の導入を前向きに検討したい代表的な4つのケースを紹介します。
6-1. (1)太陽光発電システムの導入を検討している
太陽光発電の新規導入を検討している場合は、蓄電池をセットで導入するのがおすすめです。太陽光発電と蓄電池を同時に設置することで、工事費や機器構成をまとめられ、トータルコストを抑えやすくなります。
また、発電した電気をその場で蓄え、自家消費まで見据えた設計ができる点も大きなメリットです。
6-2. (2)さらに電気代を抑えたい
すでに太陽光発電を導入しているものの、日中は不在がちで発電した電気を十分に使えていない家庭も多く見られます。これは、夜間に電力会社から購入する電気が減らず、「思ったほど電気代が下がらない」と感じやすくなっているパターンです。
しかし、蓄電池があれば昼間の余剰電力を夜間に活用できるため、購入する電力量が減少する、つまりトータルの電気代を大きく削減することが可能です。
6-3. (3)停電・災害に備えたい
日本は地震や台風、大雨などの自然災害が多く、停電リスクと常に隣り合わせの環境です。蓄電池があれば、停電時でも照明や冷蔵庫、通信機器などを使用でき、生活への影響を最小限に抑えられます。
特に太陽光発電と組み合わせることで、長期停電への備えとしても安心感が高まります。
6-4. (4)卒FITを迎える
固定価格買取制度(FIT)の適用期間が終了する卒FITのタイミングも、蓄電池導入に適した時期です。
卒FIT後は売電単価が大きく下がるため、余剰電力を売るよりも自家消費に回したほうが経済的なメリットが大きくなります。蓄電池を導入することで、発電した電気を無駄なく・賢く活用できるでしょう。
7. 失敗しない!蓄電池の販売店選びのコツ

蓄電池を導入する際に最も気を付けたいのが販売店選びです。
蓄電池は購入して終わりではありません。設置してから何年も付き合い続けるため、アフターフォローを任せられる信頼できるお店を選ぶことが大切です。
最後に、販売店選びに失敗しないためにおさえておくべき3つのコツを紹介します。
7-1. 費用と品質・サポートのバランスがとれているか
蓄電池を購入するときは、少しでも安い販売店を選んで費用を節約したいという方も多いでしょう。しかし、安さだけを基準に販売店を選ぶのはおすすめしません。
蓄電池を取り扱っている販売店は数多くありますが、中には、価格が安くても保証がないお店も存在します。ほかにも、工事品質の悪さが原因で設置後にトラブルになるおそれもあるため、販売店は安さではなく「費用と品質・サポートが見合っているか」を軸に選ぶことを心がけましょう。
7-2. 保証内容が充実しているか
蓄電池には、機器保証や災害保証、工事保証といった保証があります。保証内容を確認して、保証が充実している販売店を選びましょう。
ただし、機器保証が付いていても適用されない場合があります。例えば、蓄電池は屋外に設置することが多いため、台風のような自然災害が原因で故障した場合は機器保証の対象外になることがほとんどです。
多様なケースに対応できる保証を用意している販売店であれば、万が一の故障やトラブルが起きた場合でも過度に不安を感じる必要はないほか、条件次第では追加費用をかけずに修理・交換を受けられる可能性が高まるでしょう。
7-3. 工事品質が高いか
蓄電池は長期の運用を想定しているため、設置工事の品質が重要です。工事の質が悪いと機器への負担が大きく、故障や不具合の原因になる恐れがあります。
販売店の工事品質を知るには、過去の工事実績を確認し、口コミやインターネットで評価をチェックするのが効果的です。ほかにも、施工担当者が電気工事などに関する資格やメーカー公認のライセンスを所有しているかも確認しておくと良いでしょう。
まとめ
蓄電池の価格は下落傾向にあり、国もコスト低減に向けた取り組みを進めています。しかし、原材料価格や国際情勢の影響を受けやすく、今後の価格推移を正確に見通すのは容易ではありません。
そのため、「さらに安くなるまで待つ」ことが必ずしも最善とは限らず、導入の目的やライフスタイルに合ったタイミングを見極めることが重要です。特に、太陽光発電をすでに導入しており卒FITを迎える場合は、売電収入が減少するため、なるべく早い段階で蓄電池を活用した自家消費へ切り替えるほうが経済的メリットを得やすくなります。
リベラルソリューション株式会社では、太陽光発電や蓄電池の販売・施工はもちろん、導入後のメンテナンスや万が一のトラブルにも丁寧に対応しています。長く安心して使い続けられる体制を整えているため、初めて蓄電池を検討する方にも心強い存在です。
太陽光発電や蓄電池の導入を検討している方は、ぜひお気軽にリベラルソリューションへご相談ください。
